渋野日向子、全英女子制覇「鳥肌立ちすぎて言葉にできない」…日本人メジャー42年ぶり快挙


 ◆米女子プロゴルフツアー メジャー最終戦 AIG全英女子オープン最終日(4日、英国ミルトンキーンズ・ウォバーンGC=6756ヤード、パー72)

 日向子、やったぜ! 2打差の単独首位から出たメジャー初出場の渋野日向子(20)=RSK山陽放送=は7バーディー、1ボギー、1ダブルボギーの68で回り、通算18アンダー。1977年全米女子プロの樋口久子以来、日本人では42年ぶり2人目のメジャー制覇の快挙を達成した。終盤まで競ったリゼット・サラス(米国)との壮絶な死闘を制した。安田祐香(18)=大手前大1年=は77で2オーバー59位でベストアマを逃した。

 日本ゴルフ界の夢と希望を背負った20歳の渋野に歓喜の瞬間が訪れた。サラスと並んで迎えた18番で4メートルのバーディーパットを沈めると、パターを持ったまま左手を高々と突き上げた。英国のギャラリーから大拍手を浴びる中、コーチの青木翔キャディー(36)と満面の笑みで抱き合った。

 樋口以来、42年ぶり2人目のメジャー制覇の歴史的快挙を、初メジャー出場で成し遂げた。宮里藍、不動裕理らが届かなかった高い壁。初海外試合で国外では無名だった20歳が世界を驚かせた。初メジャーの日本女子最高成績は13年大会の比嘉真美子の7位など3例あるが、一気に塗り替えた。

 3日目に2打差の単独首位に立ち、「しっかり攻めたい。この位置なら優勝を狙いたい」と臨んだ最終日。3番でまさかの4パットで大会初のダブルボギーをたたいて後退した。5人が首位に並ぶ大混戦で迎えた5番で5メートルを沈めてリードしたが、8番でボギー。1つ落とし、2打差3位で前半を折り返した。

 初日と3日目に30をマークした後半に巻き返した。10番でエッジから5メートルのバーディーを沈め、両膝を折り、ようやくトレードマークの笑みがこぼれた。12番パー4は池を越えてグリーン右に1オン成功。13番も2メートルのバーディーで3人が並ぶ首位に立った。直後に2組前のサラスが抜け出したが、渋野も15番で2メートル半を決めて首位を捉えた。16、18番では乾き物の珍味で栄養補給。終盤もテレビカメラに笑顔を振りまくなど、緊張とは無縁の強心臓ぶりだった。

 前週のメジャー・エビアン選手権(フランス)を戦った多くの選手が連戦で疲労する中、国内ツアーを休養に充て開幕1週前に英国入り。渡英前日は、友人らと地元・岡山でプライベートのラウンドに出掛けた。「何も考えずにゴルフを楽しみたかったんでしょう」と母・伸子さん(51)。心身ともにフレッシュな状態で金字塔を打ち立てた。

 来夏の東京五輪代表2枠入りも大きく近づけた。世界ランクは初の出場圏内となる13~15位に浮上するもよう。無限の可能性を秘めるニューヒロインが日本中に感動を届けた。

 渋野日向子「鳥肌が立ちすぎて…。言葉にできない。最後のパットもそこまでは緊張していなかった。強めに打とうと思って、ここで決めるか3パットするかだと思っていた」

 ◆日本選手のメジャー制覇

 ▽女子=1977年全米女子プロの樋口久子 当時31歳。米サウスカロライナ州ベイツリー・プランテーションCCで行われ、首位タイで出た最終Rは5バーディー、2ボギーの69で通算9アンダーで2位に3打差をつけて日本男女通じて初のメジャー制覇。優勝賞金は2万2500ドル(約630万円、当時)。

 ▽シニア=2013年全米プロシニアの井戸木鴻樹(こうき) 51歳で初の海外試合。米ミズーリ州ベルリーブCCで行われ、初日30位から徐々に順位を上げる。5打差5位で出た最終日、ロングパットが決まり6バーディー、ボギーなしの65で逆転。優勝賞金37万8000ドル(約3840万円、当時)。

 ◆ゴルフ東京五輪への道 女子は20年6月30日時点の世界ランクを基準に算定する五輪ポイント上位60人が出場権を獲得。〈1〉同ランク15位以内は各国・地域で最大4人〈2〉16位以下は〈1〉の有資格者を含み最大2人が出られる。男子は20年7月30日から、女子は同8月5日から、ともに4日間、埼玉・霞ケ関CCで72ホールストロークプレーの個人戦で競う。

最新のカテゴリー記事