米女子プロゴルフツアーのメジャー最終戦、AIG全英女子オープン(ウォバーンGC)で日本女子2人目のメジャー制覇の偉業を成し遂げた渋野日向子(20)=RSK山陽放送=が6日、日本ゴルフ界初の五輪金メダル獲得への意欲を初めて口にした。
世界を魅了した“スマイリング・シンデレラ”は羽田空港に帰国。この日発表された世界ランクが46位から14位へと急上昇。東京五輪代表圏内の日本勢2番手につけ、「日本中を元気にしたい。自国開催なので金メダルを取りたい」と力強く宣言した。
一躍世界の頂点へと駆け上がった20歳は、やはり笑顔で帰国した。約12時間の長旅にも疲れを見せずに、世界中のゴルフファンをとりこにした明るいスマイルをふりまいた。報道陣54社141人が集まった空港内で約1時間の凱旋会見。無数のフラッシュと26台ものテレビカメラの前で、初めて五輪の頂点への強い思いを披露した。
世界ランクが14位まで急浮上。来年8月の東京五輪日本代表圏内に初めて突入し「このメジャーは大事だと思っていたので、最高の結果を出せたことは良かったです」とうなずいた。東京五輪については「日本中を元気にしたいなと思っているので、出たいなと思う。皆さんに楽しんでもらえるようなプレーをして。まだ出られるか分からないですけど、金メダルはやっぱり自国開催なので取りたいなと思います。まだ(代表に)選ばれていないのにすみません。ウフフフッ」と独特のシブコ節で決意を明かした。
五輪にこだわる理由がある。08年北京五輪で初の金メダルを獲得したソフトボール女子日本代表の姿を、当時ソフトボールの投手だった渋野はテレビ観戦した。「優勝したのをずっと見ていて。今でもたまに動画で見ているんですけど。ああやって五輪で活躍すると皆、元気になるんだなと思ったので」。自身の体験から、金色のメダルで日本中を明るく照らしたい思いを抱いた。
42年ぶり日本女子2人目の歴史的なメジャー制覇で、五輪代表への道は大きく開けてきた。米ツアーに詳しい関係者によると、渋野は今回の優勝で今後5年間は海外メジャーに出場する資格を手にしたという。来年6月末の五輪代表争いに向け、世界ランクの獲得ポイントが大きな海外メジャーに出られることは、大アドバンテージとなる。「出て結果を出せば五輪出場にはつながる」と、プロ2年目で世界の頂点を極めたシンデレラは次なるメジャー挑戦も視野に入れている。
次戦・北海道meijiカップ(9~11日・札幌国際CC島松C)に備え、7日に移動する。8日からコースに入る予定で「明治カップはチョコレートが楽しみ」と天真らんまんに笑った。かつてない注目を浴びるが、「そこまで気負わず、いつも通りのプレーで頑張りたい」。北の大地でもシブコ・フィーバーは続きそうだ。(榎本 友一)
◆東京五輪ゴルフ 女子は20年6月30日時点の世界ランクを基準に算定する五輪ポイント上位60人が出場権獲得。〈1〉同ランク15位以内は各国・地域で最大4人〈2〉16位以下は〈1〉の有資格者を含み最大2人が出られる。女子は同8月5日から4日間、埼玉・霞ケ関CC東Cで72ホールストロークプレーの個人戦で競う。16年リオ五輪で初出場した日本勢は男子は池田勇太21位、片山晋呉54位。女子は野村敏京4位、大山志保42位だった。
◆東京五輪ゴルフ日本女子代表争い
今季米ツアー1勝で世界ランク10位の畑岡に続き、全英を制した渋野が14位まで躍進した。2人に続く3番手の選手が世界ランク15位以内に入れば、出場枠が3に増える可能性も浮上してきた。同29位で3番手の鈴木は今季3勝で、6月の全米女子オープン5位の比嘉も追う。勝や今季抜群の安定感を見せる河本、小祝、原の「黄金世代」が猛追中。米ツアー経験者で技術力の高い上田、五輪出場に強い意欲を持つ成田もチャンスがある。来年6月末の五輪代表決定期限まで2番手、3番手争いが焦点となりそうだ。