鈴木愛、あるぞ東京五輪3枠…2週連続完全Vで米ツアー初制覇「ほんとに夢みたい」


通算17アンダーで優勝を決めた鈴木愛は、笑顔でガッツポーズ(カメラ・義村 治子)

通算17アンダーで優勝を決めた鈴木愛は、笑顔でガッツポーズ(カメラ・義村 治子)

 ◆米女子プロゴルフ協会公式戦 TOTOジャパンクラシック最終日(10日、滋賀・瀬田GC北C)

 鈴木愛(25)=セールスフォース=が、日米両ツアーを兼ねる今大会で、日本人では8月の全英女子オープンの渋野日向子以来16人目の米ツアー優勝を飾り、国内今季6勝目を挙げた。首位で出て5バーディー、ノーボギーの67とスコアを伸ばし、通算17アンダーで2位に3打差の快勝。2週連続完全優勝は国内史上3人目の快挙となった。賞金ランキングでは渋野を抜き2位に浮上し、来年の東京五輪出場も視界に捉えた。来季の米ツアー出場権も獲得した。

 力強く何度も握った拳が、喜びの大きさを表していた。最終18番、鈴木が1メートルのバーディーパットを決めると、ギャラリーがどっと沸いた。憧れの米ツアーで、初日から首位の座を守り続けての完全優勝に、「ほんとに夢みたい。日本を超えて世界の大会なので価値のある1勝。今までの勝利の中で、1番か2番目に忘れられない試合になった」と、興奮気味に話した。

 最終日も“無欲”を貫いた。左手首痛と左親指痛に悩まされ、9月末から4戦を欠場。「今までで一番ゴルフが嫌になった」と、競技を離れてリフレッシュに努めた。優勝を意識し過ぎるあまり現実とのギャップに苦しめられてきたが、そんな感情からも解放され、「自分に期待しなくなった」ことが史上8人目のシーズン6勝目につながった。

 この日も16番までリーダーズボードを気にせず、「5か6アンダー」という目標に向かってまい進し、樋口久子・三菱電機レディスに続き2週連続の完全V。渋野ら黄金世代など若手の活躍が著しい中、「若い子には負けられない」と、3日間でわずか1ボギーと17年賞金女王の意地を見せ、強力な海外勢をも圧倒した。

 この優勝で来季の米ツアーの出場権を獲得した。本格参戦には18日までに登録が必要だが、「英語もしゃべれないし食事の面もあるし、移動も大変で…。行きたい気持ちだけだと70(%)ぐらいだけど、全部入れると20ぐらい」と慎重な姿勢。登録しないでも5大メジャーに加え、推薦で6試合出場が可能だと聞き、「メジャーは出られるなら全部出たい」と語った。

 東京五輪出場にも大きく前進した。今回の優勝で世界ランクも24位から18位前後へのジャンプアップが濃厚。来年6月までに現在4位の畑岡奈紗、13位の渋野を含め、鈴木が15位までに入れば日本の出場枠は「3」に増える。「今季は20位以内で終われるように頑張りたい」と、意欲を見せた。

 賞金ランクは2位に浮上。10月のマスターズGCレディース後に3817万3567円あった首位・申ジエとの差は685万5127円に詰まり、逆転女王も視界に捉えた。「こんなに差が詰まるとは。毎週トップ10目指して頑張れたら追いつく可能性はある」。記録ずくめの優勝を果たした鈴木の勢いは止まることはなさそうだ。(筒井 琴美)

 ◆鈴木の記録アラカルト

 ▼今大会に日本ツアーメンバーとして出場した日本人選手の優勝 07年の上田桃子以来(11年の上田、18年の畑岡は米ツアーメンバーとして優勝)12年ぶり。

 ▼2週連続完全V 18年の申ジエ(ゴルフ5レディス→日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯)以来3人目。

 ▼日本ツアーメンバーの国内ツアー年間6勝 15年のイ・ボミ(7勝)以来8人目。最多は03年の不動裕理の10勝。

 ◆鈴木 愛(すずき・あい)1994年5月9日、徳島・三好郡生まれ。25歳。11歳でゴルフを始め、鳥取・倉吉北高2年時に中国女子アマを制覇。2013年にプロ転向し、14年の日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯を大会最年少で制しツアー初V。通算15勝で生涯獲得賞金は6億4918万9948円。得意クラブはパター。趣味は料理。家族は両親と姉、妹、弟。155センチ、55キロ。

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