◆アジアンツアー共同主管 男子プロゴルフツアー SMBCシンガポールオープン最終日(19日、シンガポール・セントーサGC)
【セントーサ島(シンガポール)19日=榎本友一】プロ8年目で未勝利の木下稜介(28)=ハートランド=が4バーディー、ボギーなしの67で回り、通算11アンダーで日本人最上位の6位に入った。有資格者を除く上位4人に与えられるメジャー、全英オープン(7月16~19日、ロイヤル・セントジョージズGC)切符を獲得。16年リオ五輪銅メダルのマット・クーチャー(41)=米国=が18アンダーで大会初優勝した。
灼(しゃく)熱の開幕戦で、成長著しい木下稜が全英切符をつかんだ。“圏外”で迎えた17番。10メートルの下りスライスラインをねじ込んで伸ばすと、右拳を突き出して渾(こん)身のガッツポーズ。最終18番も1メートルのバーディーパットを決めた。「全英が開幕する7月16日が誕生日。20代のうちにメジャーに出たいと思っていたので、すごくご縁がある。いいプレゼントをもらえました」と満面の笑みを浮かべた。
重圧の中、ボギーなしで回り「ショットの精度がすごく安定していて、際どいパットが入ってくれた」と胸をなで下ろした。昨年11月から肉体改造に励み「スイングがスムーズになってスコアも出るようになった」。昨季は「令和初のアルバトロス」をマークするなど6度のトップ10入り。今大会は第3R後もホテルのジムで約40分トレーニングを行い「自信から確信に変わったと言いますか。次は(初)優勝を目指して頑張りたい」とうなずいた。
石川遼、松山英樹とは同学年。「僕は学生の頃から一気に行くタイプではない。いずれは自分も海外に出て同じ舞台で戦えるように」と2人の背中を地道に追いかけている。「(既に出場権を持つ)英樹と全英で練習ラウンド一緒にしたい。いっぱい質問したいですね」と、同じ四国で過ごした高校時代から知る旧友との再会を心待ちにした。「目標はでっかくいきたい。賞金王になりたい」と今季の飛躍を期した。
ホールアウト後、日本ゴルフツアー機構の青木功会長(77)から「お前、うまいんだなぁ~。でも、行くだけじゃダメだぞ」と激励された。「全英は設定がタフで、距離はそこまで必要ないイメージ。強風の中でのプレーは得意なので、どれくらいできるか楽しみ」と木下稜。松山に負けじと海外メジャーの舞台でも上位を狙う。
◆木下 稜介(きのした・りょうすけ)1991年7月16日、奈良・北葛城郡生まれ。28歳。10歳からゴルフを始め、香川西高時代の09年全国高校選手権2位。大阪学院大4年時に朝日杯日本学生優勝。14年にプロデビューし、ダンロップ・スリクソン福島オープンで自己最高の2位。18年に54位で初の賞金シード入りし、昨季は自己最高の賞金ランク34位。174センチ、75キロ。家族は両親と弟。