◆米男子プロゴルフツアー RBCヘリテージ第1日(18日、米サウスカロライナ州ハーバータウンGL)
日本勢唯一の出場で、約3か月ぶりの復帰戦となった松山英樹(28)=LEXUS=は新型コロナウイルス感染防止の新様式に戸惑い3バーディー、4ボギー、1ダブルボギーの3オーバー、74で終えた。首位とは10打差の134位と大きく出遅れた。7アンダー、64と伸ばしたイアン・ポールター(英国)とマーク・ハバード(米国)が首位に並んだ。18年大会覇者の小平智(30)=Admiral=とツアー歴代最多82勝のタイガー・ウッズ(米国)は、出場していない。
日本のエースの約3か月ぶりの復帰初日は、“新様式”への戸惑いの連続だった。松山は3月12日以来の実戦ラウンドを「思ったプレーができなかった」と振り返った。
新型コロナ感染への不安が残る中、米男子ツアーは前週から再開された。再開後初戦となった松山は同組の2人のメジャー王者ジョンソン、ウッドランド(ともに米国)の後方は歩かず、バッグからクラブを自分で抜くなどこれまでと違う神経を使った。「どういう状況で(ウイルスに)かかるか分からないけど(考えすぎると)ゴルフに集中できない。気持ちを切り替えて頑張りたい」と反省の言葉を口にした。
63をマークして暫定首位発進した、3月のプレーヤーズ選手権初日以来の実戦。「(得意のショットの)状態は良くないが、いけるんじゃないかと期待もあった」。しかし、前日までの練習で左に行きがちだったショットが一転、右へ。風の強まった午後スタートで狭いコース。「想定外だった」とティーショットに苦戦した。パットもさえず、昨年9月以来今季2度目の予選落ち危機に陥った。
1番で3ウッドでの第1打をいきなり右に曲げてボギー発進した。5番で6メートルのイーグルパット、8番は1メートル半のパーパットがカップに蹴られた。13、15番で挽回したが16番は50センチの距離のパットをミス。「ぼーっとしながら打ってしまった。集中しないと」と3パットのダボを悔やんだ。
先週から会場では、新型コロナ感染拡大を防ぐための対策や新様式が徹底されている。観客はおらず、スコア表示もない寂しい雰囲気。今週はコース内に立つ家の住人たちが歓声を上げる場面もあり「そこは良かった」と松山は感謝した。
首位とは10打差。17年8月以来の米ツアー通算6勝目は厳しい状況だが「爆発して予選通過できる位置で終わりたい」と大会前に掲げた「4日間完走」の目標へ、追い上げを期した。
◆米男子ツアーが導入した主な新型コロナ感染対策
▼選手とキャディーはハイタッチやグータッチ、握手などの接触行動は禁止。お互いにソーシャルディスタンス(約2メートル以上)を取るように努力しなくてはならない。クラブはなるべく選手がバッグから抜き差しする。
▼コーチ、通訳は打撃練習場と練習エリアは立ち入り可能。ただし、選手とは常に6フィート(183センチ)以上の距離を保つこと。
▼コース内のピンやバンカーレーキなどの備品はプレー前に除菌される。各ホールのティーやグリーンには手の消毒ステーションを設置する。
▼感染リスク軽減のため、クラブハウス内への選手の家族の立ち入りは禁止。
▼選手とキャディーには開催地への移動前から大会が終わるまで問診票、鼻腔(びくう)検査が義務づけられる。
▼陽性反応が出た場合、ただちに指定場所で隔離される。
◆松山の主な巻き返し
▼14年メモリアル・トーナメント 初日は70で7打差21位。2日目に67をマークして4位に浮上し、米初優勝を果たす。
▼17年全米オープン 初日は74で9打差82位と出遅れたが、2日目にメジャー自己ベスト(当時)の65で2打差8位に急浮上。メジャーで日本男子最高に並ぶ2位に入る。
▼同年ブリヂストン招待 初日は4打差15位につけ、最終日に日米通じて自己最少スコアの61で、2位に5打差をつける圧勝、米ツアー5勝目。
▼19―20季では 昨年11月のHSBCチャンピオンズ(初日75)、1月のソニーオープン(同74)、ファーマーズ・インシュランス・オープン(同73)でいずれも出遅れたが、2日目に67をマークし、予選を通過(HSBCは予選落ちなし)。
〇…米男子ツアーは前週からキャディーの背中に選手名とともに、地元ごとの医療従事者の名前をつけている。コロナ感染症対応の厳しい現場で奮闘する人々への敬意と感謝を表現したもの。今大会、早藤将太キャディー(26)は松山の名前とともに、サウスカロライナ州ウィリアムストンの医療機関で働くティリルソンさんの名前をつけてバッグを担いでいる。