女子ゴルフで、新型コロナウイルス感染拡大の影響により開催が危ぶまれていたメジャー大会のAIG全英女子オープン(8月20~23日、ロイヤルトルーンGC)の主催者R&Aは7日、無観客で予定通り大会を開催することを発表した。昨年大会で日本人42年ぶり2人目のメジャー制覇を達成した渋野日向子(21)=サントリー=が、今年は日本人初のメジャー2連覇を狙う。
渋野の2年連続全英制覇への夢がつながった―。開催が危ぶまれたAIG全英女子オープンの無観客での開催が決まった。女子メジャーの今季初戦となる。日本人初のメジャー2連覇がかかる渋野は3日に「2連覇できるチャンスは私しかない。行きたすぎて、しょうがないです」と開催を熱望していた。
R&Aは「大会は厳格な健康管理と安全の手順で行う」と声明を発表した。世界中で1100万人以上のファンが視聴するとしている。チーフエグゼクティブのマーティン・スランバー氏は「全英女子OPは女子ゴルフの成功のためにとても重要だ。今年、プレー機会のなかった選手たちにとって大きな一歩だ」とコメントした。
日々検温 選手やスタッフは試合の週、コースと指定されたホテルの行き来だけになることや、参加にはコロナ検査で陰性を示す必要があること、日々の検温などが実施されることも述べられた。
渋野は全英に向けて「やる前提で準備している。試合がなかなかない状況で、かなり楽しみ。オフはアプローチの種類を増やしてきた。練習したことを試したらどんな感じになるんだろう」と強調していた。
長いオフ期間では肉体とスイングを将来の米ツアー挑戦を見据えた仕様にチェンジした。国内ツアー今季初戦となった6月下旬のアース・モンダミンカップ(千葉)では、1打及ばず予選落ち。それでも、「今結果に出るのではなく、これから先に出したい。焦らなくていい」と気持ちを切り替え、ショックは「寝たら直った」とも語った。
その前週の8月13~16日には米ツアーのスコットランド女子OP(ルネサンス・クラブ)が組まれている。こちらの開催可否は未発表だが、“前哨戦”として出場の可能性もあり「ぶっつけ(本番)で全英に行くより、免疫をつけたい」と話していた。
6月上旬には女子メジャーで8月に予定されていたエビアン選手権(フランス)の開催が中止に。当時の英紙によれば、米女子プロゴルフ協会のマイク・ワン会長は「フランスが中止になったから、(全英女子を含む)我々の欧州遠征が中止というわけではない」とコメントしていた。英国ではプロスポーツ選手に対する入国制限が緩和されつつある状況などが理由として触れられた。
同じく英国開催の男子メジャー、全英オープン(7月、ロイヤル・セントジョージズGC)は、1945年以来の中止となったが、女子は開催が実現する。海沿いで風向きや天候がめまぐるしく変わるリンクスコースを、渋野がどう攻略するか。前回女王のプレーを世界中が注目している。
◆昨年のAIG全英女子オープン優勝VTR ロンドンから北西へ約75キロ離れた林間コースのウォバーンGCで開催され、自身初の海外試合に臨んだ。66で初日2位と好発進した渋野は2打リードの首位から出た最終日、一時は3位と順位を下げたが、後半に5バーディーを量産し、68で回り1打差で逃げ切った。4日間、後半ラウンドだけで全18アンダーを稼ぎ出した。77年全米女子プロの樋口久子以来、2人目の日本人メジャー制覇。ラウンド中の笑顔と駄菓子を食べる天真らんまんさで大観衆を味方につけた。
◆ロイヤルトルーンGC 英国北部のスコットランドにあるコースでグラスゴーから南西に約50キロに位置する。クライド湾に隣接し、風の読みが攻略のポイントとなる。ビッグトーナメントの開催コースの中では、最も海に近いとされるリンクスコース。16年に行われた男子メジャーの全英オープン時には、後半に難しいホールが続いた。当時はインコースが向かい風となり、選手にとってはさらに距離を長く感じさせる設計となっていた。