1日10時間、年中無休で練習 稲見萌寧「はざま世代」の逆襲! 涙のVでツアー2勝目 


通算2勝目を挙げ、優勝トロフィーを手に笑顔の稲見萌寧(カメラ・今西 淳)

通算2勝目を挙げ、優勝トロフィーを手に笑顔の稲見萌寧(カメラ・今西 淳)

 ◆女子プロゴルフツアースタンレーレディス 最終日(11日、静岡・東名CC=6572ヤード、パー72)

 首位と1打差の8位で出た稲見萌寧(もね、21)=都築電気=が5バーディー、ボギーなしの67で回り、通算5アンダーで並んだ浅井咲希(22)=小杉CC=、ペ・ソンウ(26)=韓国=との3人によるプレーオフ(PO)を1ホール目で制し、逆転優勝した。1999年度生まれ「はざま世代」のエースはパーオン率100%と持ち味を発揮。昨年7月に続き、うれし涙のツアー通算2勝目を飾った。

 上半身が赤、下が黒の“ウッズカラー”で固めた稲見は勝負師そのものだった。土壇場の18番でバーディー。自身初のPOに持ち込むと、1ホール目の第3打。残り86ヤードを52度ウェッジでピン目がけて放ち、4メートルのバーディー好機へ。ウィニングパットは「入れる気満々」で決め切り、「楽しくできた。2勝目は一番大変と聞いてきたので達成できて良かった」と笑顔。その後、グリーン周りに駆けつけた仲間を見つけ、昨年7月のセンチュリー21レディスの初優勝時と同じうれし涙があふれた。

 昨季パーオン率は78・2%の1位で「譲れない」と自他ともに認めるツアー屈指のショットメーカーだ。強い風が吹いたこの日も、正規の18番パー5で残り116ヤードの第3打を9アイアンでピン左手前70センチにつけて楽々バーディーを奪うなど全18ホールでグリーンを捉え、パーオン率は100%と持ち味をいかんなく発揮。8月の海外メジャー、AIG全英女子オープンでは予選落ちしたが、名物の強風の悪条件下のプレーを経て「風を読むようになり、間違った読みはなかった。全英は“暴風雨”。今日は“ゴルフ日和”でした」と胸を張った。

 時に一日10時間、年中無休という並外れた練習量で知られるが、全英から帰国後の2週間の自主隔離で普段同様の練習もできず「体力も落ちた」。3戦を欠場し、帰国後初戦の日本女子プロ選手権(9月)で「周囲より3戦少ない。早く取り戻そうと空回りした」と予選落ち。今季は複数回Vを目標に臨んでいただけに悔しさを膨らませたが、「練習するしかない」と打ち込んだ。

 稲見ら99年度生まれは、98年度生まれ「黄金世代」と、ツアー2勝の古江彩佳、安田祐香らがいる2000年度生まれ「ミレニアム世代」の中間世代にあたり、同学年の仲間うちで「うちらって“はざま”かな?」と話し合い、自虐的な名称をつけた。はざま世代のエースは「練習して毎週優勝を目指していきたい」と飛躍を誓い、上下に負けじと世代をけん引していく。(宮下 京香)

 ◆はざまの世代 98年度生まれの黄金世代と00年度生まれのミレニアム世代に挟まれた99年度生まれ。稲見のほか、前週の日本女子オープン7位の吉本ここね、19年アース・モンダミンカップ5位の菅沼菜々らがいる。3人とも18年のプロテストに一発合格。黄金世代の渋野、原、河本、大里らとJLPGA入会の同期(90期生)にあたる。

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