◆男子プロゴルフツアー 三井住友VISA太平洋マスターズ 第1日(12日、静岡・太平洋C御殿場C=7262ヤード、パー70)
史上初めてアマとプロでの同一大会連覇を目指す金谷拓実(22)=東北福祉大4年=は3バーディー、2ボギーの69で回り、1アンダーで3打差8位と好発進した。“鬼門”の初日で、日本ツアーで今季初のアンダーパーを記録。優勝で今年最終戦のメジャー、日本シリーズJTカップ(12月3日開幕・東京よみうりCC)初出場を狙う。66の大槻智春(30)=真清創設=が4アンダーで単独首位。
金谷は前半11番の第1打を放つと首をかしげた。球は想定外の右バンカーへ。「なんじゃそら~! 風もフォローなのに低い球で(バンカーに)入っちゃって…」。感覚の狂いに苦笑いするしかなかったが、後半に入ると見事に修正。1番で8メートルのバーディーパットをねじ込み、最終9番で残り175ヤードの第2打をピンそば50センチに寄せてバーディー。国内では今季初のアンダーパー発進で「鬼門の初日をアンダーで回れたので良かった」とうなずいた。
今大会前まで今年出場した日米ツアー4戦で、各ラウンドの平均スコアは初日の「71・5」がワースト。「神頼み」としていた“鬼門”突破へ、1973年のツアー制施行後、史上4人目のアマ優勝を飾った昨年大会同様、ファミリーレストラン「びっくりドンキー」でチーズバーグディッシュを食べ験を担いだ。好発進につなげ「毎日びっくりドンキーでもいい」と笑った。
10月の米ツアー、ZOZOチャンピオンシップ(41位)から帰国後、2週間の自主隔離期間を仙台市内のホテルで過ごした。練習場に行くことはできず、缶詰め状態で、できるのはパットなど限られた練習のみ。10日にスイング練習を再開、11日の始発電車で会場入りして約2週間ぶりにラウンドした。この日の前半はショットが荒れ「ラウンドできないと、芝から打つ感覚がないし、ちょっと苦労しました」と振り返ったが、8位発進はさすが元世界アマランク1位の逸材だ。
今大会か次戦ダンロップフェニックスで3位タイ以内、または賞金ランク上位に入れば日本シリーズ初出場が決まる。昨年も出場権を得たが、今年の全英オープン切符獲得のため、日程が重なるオーストラリアオープン出場を優先させた。今年は現在賞金ランク11位で出場の可能性は高いが、開幕前から「優勝して最終戦に出たい」と宣言。大学生プロは「明日はもっといいプレーをしたい」とプロ初優勝へ思いを強めた。(宮下 京香)
◆日本シリーズJTカップの出場資格 例年通り30人が出場し、〈1〉前年大会覇者〈2〉今年のツアー5大会の優勝者〈3〉同3位タイ以内〈4〉賞金ランク上位者に出場権が与えられる。ここまで、昨年大会を制した石川遼(29)ら9選手の出場が内定。残りの出場枠は、今大会とダンロップフェニックス(19日開幕、宮崎・フェニックスCC)で争われる。
〇…2010、12年大会王者・石川遼はダブルボギーを3つたたき77と伸ばせず、7オーバー78位と出遅れた。「ショットでいけないところに外したり、反省の多いラウンド」と悔やんだ。18番パー5の第4打はウォーターショットを試みるもミスしてダボ。「(スイングが)緩んでしまった」。18年のコース改修後、予選突破はないが「向く方向はひとつしかない」と前だけを見た。