渋野日向子、ミラクル!「ああ…。もう終わり」がっくり直後に池跳ねバーディー


1番、クラブをバトンのように回し笑顔の渋野日向子(カメラ・豊田 秀一)

1番、クラブをバトンのように回し笑顔の渋野日向子(カメラ・豊田 秀一)

 ◆女子プロゴルフツアー 大王製紙エリエールレディス第2日(20日、エリエールGC松山)

 濃霧のため、1時間24分の中断をはさんで行われ、昨年大会覇者の渋野日向子(22)=サントリー=が3打差4位で出て2バーディー、4ボギーの73で回り、通算1アンダーの20位で2戦連続の予選通過を果たした。17番でグリーン手前の池に入った第2打が飛び出てくる奇跡が起き、値千金のバーディーを奪って、首位と6打差と自身初の連覇への可能性をつないだ。今季2勝の笹生優花(19)=ICTSI=、今季1勝の西村優菜(20)=フリー=の2人が通算7アンダーの首位。

 日が傾いた底冷えする寒さの中、渋野が奇跡的な“生還劇”を演じた。510ヤードの17番パー5。残り226ヤードから3ウッドでの第2打は「池があるのでりきんでしまって」。打球は一度、水しぶきを上げてグリーン左手前の池へ。「ああ…。もう終わりを迎えた」と予選落ちが脳裏をよぎった。だが次の瞬間、池の中のコンクリートで跳ねて「緑のエッジにボールが駆け上がっていくのが見えて。いやぁ、ラッキーですよね。ついてたぁ~! 日頃の行い、と言っていいのか分からないですけど」と笑い飛ばした。残り25ヤードのラフからの3打目を3メートルに寄せて起死回生のバーディー。首位と6打差で首の皮一枚、連覇への可能性を残した。

 第2Rは今季11戦で平均スコア73・81と最も悪い「鬼門」だった。前夜からの雨でグリーンが重くなり、前日好調だったパットで苦しんだ。2番で3パットのボギーが先行し、8番は1・5メートルを外してボギー。9番は2メートルのバーディーパットがカップにけられ「イラッときました。グリーン上でくそ~っと言っちゃいましたね」。12番で1・5メートルを沈めて取り返すも13、14番で4メートル、1メートルを外して連続ボギーで計32パット。17番の奇跡的なバーディーで、薄氷を踏む2戦連続の予選通過に「素直にホッとしております。2日目の呪縛は解けませんね」と苦笑した。

 先輩の意地も後押しした。今大会で岡山・作陽高の後輩・石川怜奈(20)がレギュラーツアー初出場。「この日を楽しみにしてきた。いろいろ話しました」と第1R後、渋野は食事に出かけた。「一緒に戦えるのは励みにもなりますし、先輩らしいところも見せないと」とこの日発奮した。6差追走での決勝R2日間だ。「去年ほどビッグスコアの出る状態ではないけど、最高のプレーができればトップに近づけると思う」と渋野は自らに言い聞かせた。1年ぶりの日米通算6勝目へ全力を振り絞る。(榎本 友一)

 〇…午前8時のスタート後に霧が濃くなり、9時すぎから約1時間半競技が中断。小雨の後は冷たい風も吹く悪条件だった。各選手のスコアが伸びない中、西村は3バーディー2ボギーの70で、笹生と並んで首位を維持し「ショットが乱れて後半にチャンスをつくれなかったが、その中でアンダーパーはOKでした」と胸をなで下ろした。

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