3月3日に86歳の誕生日を迎える田中さんのエージシュートは2月10日現在、通算727回に達した。85歳11か月余のいま、すでに205回のエージシュートは、83歳時の125回、84歳の122回を80回以上も上回って月間最多の新記録。誕生日まであと17日、記録を意識、さらに伸ばそうともくろんで快挙目前だ。さらに通算ラウンド記録は315ラウンドとなれば年間ラウンド数のギネスレコードも視野に入る快挙だ。
コロナで外出自粛などが叫ばれるなか、「年寄りだから無理をしなさんな、といってくださるのはありがたいが、家でゴロゴロしているよりゴルフと仕事は生きがいと、ずーっとやってきた。人生と一緒。エージシュートという雪だるまを一生懸命作っていたら、いまそれが転がり始めた。よし!どこまで行くかやってみようというところです」気合が入っている。「いまのペースだと85歳時で215回、年間315ラウンドとなる。共に自己記録、こだわって挑戦です」という。この数字、さらりと受け流せない。エージシュート数もすごいが、ラウンド数の目標が315ラウンドというが、1年は365日、休みは50日。ゴルフにかけた思い、心身のスタミナを思う時、そのすごさが伝わってくるがどうだろう。
2020年を簡単に振り返っておこう。
85歳最初のエージシュートは20年以上続くホームコース、よみうりGCの“老舗コンペ”「火曜会」を84でクリアして始まった。毎月第2火曜日開催、年12回、年間延べ1050人が出る会の幹事の久家(くが)博司さんによると「私の記憶では田中さんは年間9回ベスグロに輝いた。19年には年間最多優勝、84歳時の平均スコア84・7。85歳になってエージシュートが出るのは当たり前ですよね」ということになる。久家さんもかつて競技ゴルフ志向のシングルプレーヤー。名人に触発されてエージシュート狙い。「だが、年間最多ラウンドは150回が精いっぱい。エージシュートはいまだに遠い夢物語」と苦笑いだ。
5月、28ラウンドで18回、6月25ラウンドし19回、7月25ラウンドで15回。エージシュートは7月、600回の大台に乗り通算614回。心技体が整いラウンド数が増え、回数も安定した。
夏、8月2日から9月17日まで40連続エージシュートの快記録が生まれた。コロナ禍で遠い遠征を自粛、ホームコースに腰を据えたのが安定したスコアにつながった。40連続のエージシュートを達成した17日現在、エージシュートは654回と一気に伸びた。
700回は12月19日だった。年が明け降雪があったがコースはクローズを免れた。雪は積もれば溶けるのに数日を要する。どうやら天気までが名人に味方し始めたようだ。
◆田中 菊雄(たなか・きくお) 1935年3月3日、島根・松江市生まれ。85歳。神奈川・川崎市を拠点にリフォーム、食品など5社、社員400人を抱える「北山グループ」取締役会長。東京・よみうりGCなど4コース所属、ハンデ5。初エージシュートは06年8月、71歳のとき静岡・富士国際富士コースを70で回った。173センチ、65キロ。