◆米男子プロゴルフツアー 世界選手権シリーズ フェデックス・セントジュード招待 最終日（８日、米テネシー州・ＴＰＣサウスウインド＝７２３３ヤード、パー７０）
９打差１４位で出た東京五輪４位の松山英樹（２９）＝ＬＥＸＵＳ＝は７バーディー、ボギーなしで今季自己最少タイ＆この日のベストスコア６３をマーク。通算１６アンダーで首位に並んだが、３人によるプレーオフ（ＰＯ）で惜敗して２位となった。東京五輪の銅メダルＰＯに続く“２連敗”となったが、ポイント上位３０人で争うＰＯシリーズ最終戦への８年連続進出に大きく前進した。アブラハム・アンセル（メキシコ）がＰＯ２ホール目でバーディーを奪い、松山とサム・バーンズ（米国）に競り勝ってツアー初優勝を飾った。
マスターズ王者が“鉄人級”のタフさを見せた。松山は１週間前の猛暑の東京五輪に続き、１万キロ以上離れたテネシー州で中３日で出場して再び優勝争いに加わった。結果はプロ転向後、日米ツアー５連勝中だったＰＯで初黒星。東京五輪から２戦合計１４７ホール目で、勝負のパットがカップをかすめると「ベストは尽くしたけど、プレーオフ負けは悔しい」と天を仰いだ。ツアー外の東京五輪銅メダルＰＯを含めると、無類の強さを誇ってきたＰＯで“２連敗”となった。
迫力ある猛追劇だった。９打差を追った最終日はショット、パットとも抜群。五輪と異なり、大半がマスクをしていない大ギャラリーの大歓声を浴び続けた。パー５の３番、ショットを３０センチにつけた８番など前半に３つ伸ばし、後半さらに加速した。１２番から３連続バーディーを奪い、１６番はバンカーからの３打目をピン手前１メートルに寄せて通算１６アンダーとした。風が強く平均スコア７０・９２３と難易度が上がった中、モリカワ（米国）と２人だけのボギーなし。今年の自己最少スコア６３で、首位に肉薄してホールアウトした。
「いいプレーをして、風が吹けば何があるか分からないと思った」。約１時間後にＰＯ進出が決定。１ホール目は入れれば勝ちの５メートルのバーディーパットがカップに蹴られ、２ホール目のバーディーパットもわずかに外れた。４位で日本人初の五輪メダルを逃したのに続き、ツアー７勝目も惜しくも届かなかった。
新型コロナ感染から約１か月ぶりのツアー復帰戦。この日は２３パットと課題のグリーン上で収穫も得た。世界選手権シリーズで２位に入り、積算ポイントランク２２位へ浮上した。１２日開幕のウィンダム選手権にも出場予定。ＰＯシリーズ最終戦進出＆日本人初の年間王者を目指し、９月の今季最終戦まで６連戦をにらむ。「疲れたとか言っていられない。切り替えて頑張る」と気力をみなぎらせた。
◆松山の東京五輪での銅メダルＰＯ 五輪ゴルフは各メダルが１人にしか与えられず、同スコアで複数選手が並んだ場合はＰＯを実施。通算１５アンダーで並んだ７人での“銅メダルＰＯ”に進出した。１８番パー４でのＰＯ１ホール目はアイアンでの第２打をグリーン左奥のラフへ。３打目の寄せがピンを４．５メートルオーバーしてパーをセーブできずに脱落した。４ホール目で潘政（台湾）が銅メダルを獲得。松山は日本男子五輪史上最高の４位となった。
◆松山のプロ転句後日米ツアーでのプレーオフ
▼１３年９月フジサンケイクラシック（日本） 通算９アンダーとして谷原秀人、Ｓ・Ｊ・パク（韓国）との３人ＰＯを２ホール目でバーディーを奪って勝利。
▼１４年６月メモリアル・トーナメント（米国） 通算１３アンダーでケビン・ナ（米国）と並び、１ホール目でパーセーブして制す。
▼１４年１１月ダンロップ・フェニックス（日本） 通算１５アンダーで岩田寛と並び、１ホール目でパーをセーブして勝利。
▼１６年２月フェニックス・オープン（米国） 通算１４アンダーでリッキー・ファウラー（米国）と並び、４ホール目でパーをセーブして競り勝つ。
▼１７年２月フェニックス・オープン（米国） 通算１７アンダーでウェブ・シンプソン（米国）と並び、４ホール目でバーディーを奪って日本人初の大会連覇。
木下（松山と同学年の日本ツアー賞金ランク２位は初出場で４３位）「レベルの高さを改めて痛感した。早く海外に出てレベルアップしたい」
◆米男子ツアーのプレーオフシリーズ ２００７年から始まり、年間王者はボーナス１５００万ドル（約１６億５０００万円）と５年シードを得る。１９年から１試合減の全３戦となり、ツアー１戦ごとの順位をポイント換算したフェデックスカップポイントの上位１２５人で初戦開始。第２戦は７０人、最終戦のツアー選手権は３０人と絞り込まれる。７年以上連続で最終戦まで進んでいるのは、松山以外にはダスティン・ジョンソン（米国＝１２年連続）、パトリック・リード（米国＝７年連続）の２人だけ。