◆男子プロゴルフツアー Sansan・KBCオーガスタ 第3日(28日、福岡・芥屋GC=7210ヤード、パー72)
2016年大会王者の石川遼(29)=カシオ=が17位で出て8バーディー、2ボギーの66をマーク。大会9度目&33ラウンドの出場で、自身初めて4つのパー5全てでバーディーを奪い、20年3月から取り組んできたロングゲームでの進化をスコアに結びつけた。通算11アンダーで首位と2打差の3位に浮上し、最終日逆転で19年12月の日本シリーズJTカップ以来の18勝目に挑む。ツアー初優勝を狙うスコット・ビンセント(29)=ジンバブエ=が13アンダーで単独首位。
約1年半、取り組んできたロングゲームの精度アップの成果が数字に表れた。最終18番。厳しい日差しの下、石川は追い風に乗せた340ヤードのビッグドライブからピン右10メートルへ2オン。2パットで楽々のバーディーを奪い、取り囲んだ大勢のギャラリーから拍手と歓声を浴びた。「3日間の中で一番内容は良かったと思う。昨日(27日)の後半、(ショットが)ブレたことの反省が今日は生かせた」と大粒の汗をぬぐいながらうなずいた。
この大会には9度目の出場。計33ラウンド目で自身初めて6、9、13、18番の4つのパー5全てでバーディーを奪った。6番は2オン2パット。9番は3オン1パット。13番はキャリーで320ヤード近いビッグドライブからの2オン2パット。日本ツアー屈指の飛ばし屋でもある賞金ランク1位の星野陸也(25)と32度の気温よりも熱い、迫力のある伸ばし合いを演じた。
第3Rのフェアウェーキープ率は71・43%で全体5位、パーオン率は72・22%で同13位。星野とは7月の日本プロ選手権の予選ラウンド以来の同組だった。「日本プロと比較すると、ショットは良くなっていることが本当に多いな、と思った。やっていることは変わらない。飛ばしにいく時でもスイング的なポイントが1、2か月前よりはできているなと思えたのは収穫。自分の現在地はだいたい分かった。飛んでかつ、しっかり(フェアウェーの)幅に収まっているのがこれから大事になる」。20年3月に田中剛コーチ(42)に師事後、筋力トレーニングと並行して取り組んできた、ショットの飛距離と精度アップに充実感を漂わせた。
2打差の3位。過去17勝のうち6勝が最終日逆転劇で、16年以来の大会2勝目の絶好機だ。「まずは自分のベストのプレーを目指して。13番から18番までスコアが動くと思うので最後まで分からない」と石川。この日と同じく4つのパー5でスコアを伸ばせれば、新スタイルでの初勝利が近づいてくる。(榎本 友一)