驚異のエージシューター田中菊雄の世界155 武藤一彦のコラム


 田中さんのエージシュートは2021年11月いっぱいで929回に達した。71歳の時、70で回り初めて達成したエージシュートは年齢と共に増え続け83歳からは年間120回越え、85歳では213回と200回の大台。86歳の今季は、3月3日の誕生日まで3か月余を残した11月現在、通算930回、「87歳の誕生日までに1000回の大台も見え俄然、気合が入ってきました」とやる気満々だ。
 「はたから見たら何をくだらないことと思うがだろうが、転がりだしたエージシュートだ。俺はトシなんだ、と言っていられない。今やらなければいつやるんだ」と意気軒高だ。
 実はエージシュート以外に連続ラウンド記録も現在、驚きの記録が進行中である。こんなことがきっかけ。
 9月13日、日本エージシュートチャレンジ協会の第2回大会が東京・多摩丘陵の桜ヶ丘CCで開催されたことはすでに書いた。田中さんの活動に共鳴しエージシュートを目指し169人が出場したが、エージシュートは田中さん一人だけ。当然の結果だった。さらりと42,42の82。86歳はエージシュートに4アンダーで第1回大会に次ぎ2連勝した。「元気で長生き、高齢化社会のテーマを先頭立って示したい」と田中さんだ。160人の先頭に立って意気軒高。この日を境に記録がどんどん伸びた。14日、ホームコースで77のエージシュートに9アンダー、20日、ホームコースで78、22日にはエージシュート10アンダーの76が出た。そして、気が付くと9月末、18ラウンドを連続で回っていた。だが、これが始まりだった。10月、ついに31日間、連続ラウンド、さらに11月も30ラウンドをこなした。繰り返す、連続、だ。実に2か月半で79ラウンド、連続してラウンドをこなしたのである。記録はあの9月13日以来今も更新中。「100ラウンド連続を目指してみる」と真剣だ。
 “体を壊したらもともこもない”と止める声は当然。だが、そんな声には言い放つ。「力いっぱい打つのはたった30発だけ、1日1万歩、歩くだけだしゴルフは体に悪いわけはない」―確かに言う通りである。有限、実行あるのみ。
 エージシュートと連続記録。驚異のエージシューターは2兎(にと)を追って面目躍如、おどろくべき世界を築き始めた。

 

 ◆田中 菊雄(たなか・きくお) 1935年3月3日、島根・松江市生まれ。86歳。神奈川・川崎市を拠点にリフォーム、食品など5社、社員400人を抱える「北山グループ」取締役会長。東京・よみうりGCなど4コース所属、ハンデ5。初エージシュートは06年8月、71歳のとき静岡・富士国際富士コースを70で回った。173センチ、65キロ。