驚異のエージシューター田中菊雄の世界156 武藤一彦のコラム-100連続ラウンド


 エージシュート1000回と連続ラウンド記録100ラウンド。新たな目標を前に田中名人の挑戦が始まった。
 師走の12月を迎えてエージシュートは930回を越え、このペースだと残り3か月、月平均23回,エージシュートを出せば、来年2022年の3月3日、87歳の誕生日までにその数1000回の大台である。
 名人は意気軒高だ。「エージシュートという年相応なゴルフの楽しみ方を与えられ、取り組んでみたら生きがいとなった。途中、何度かケガに見舞われたが、電動マッサージ器で1回20分、それを1日3回やって体をほぐし、けがとつきあうなかで、あきらめないでやっていくことを学んだ。そう、考え方でゴルフは変わる。だらだらやっていてはダメ、はっきりした目的が出来ると苦しいが、進歩もある。それがうれしくてまたがんばれるのです」
 年だからとあきらめるのを最も戒める名人でもある。「2オンできなければ3オンのアイアンを磨け。3打で確実にオンできる自信ができると、2打目が気楽に打て、グリーンに乗ることもある。ゴルフはメンタルのスポーツといわれるのはここのところだ。今日だめなら明日。明日だめなら明後日。どれだけ意識して注意深く生きられるか。それが大事。ゴルフは生きるための材料探しになっている」 
 そこで新たに注目される現在進行中の連続ラウンド記録である。
 前回紹介したが、9月13日以来、続く連続ラウンドは11月末現在、79ラウンドを数える。2か月半、1日も休まず、ラウンドを積み重ねた。スケジュール表を見せてもらうとコースとプレー日、同伴競技者名がぎっしり書き込んであった。このまま休みなく進めば12月22日には連続。100ラウンドの大台に届く。
 “あまり無茶しないでください”、というようなことをいったことがあるが、即座に却下された。
 「ゴルフのラウンドは全力を入れて打つショットはせいぜい30回だ。1日1万5000歩を毎日歩いて15年のエージシュート人生。ゴルフやって疲れたと思ったことはない」―心配ご無用ときっぱり言われた。
 エージシュート1000回をめざし転がりだした“雪だるま“。そんな中から副産物として生まれた連続ラウンド記録も注目に価する記録だ。驚異のエージシュートの世界は新たな展開を見せ始めた。

 

 ◆田中 菊雄(たなか・きくお) 1935年3月3日、島根・松江市生まれ。86歳。神奈川・川崎市を拠点にリフォーム、食品など5社、社員400人を抱える「北山グループ」取締役会長。東京・よみうりGCなど4コース所属、ハンデ5。初エージシュートは06年8月、71歳のとき静岡・富士国際富士コースを70で回った。173センチ、65キロ。