驚異のエージシューター田中菊雄の世界163 武藤一彦のコラム-1000回達成


 87歳、エージシューター田中さんのエージシュートはついに1000回を数えた。3月24日・ホームコースのよみうりGCを40,44の84、年齢を3打下回る3アンダー、堂々の大記録達成、新時代を迎えた。
 インスタートの午前、40の好スタートから午後のアウトでダブルボギーもあって44をたたいたが、後半盛り返し、年齢より3打も良いエージシュートは会心のラウンドだった。ホールアウト後のキャディーマスター室前は1000回を期待した職員、キャディーさんに、メンバーたちが待ち受け祝福の嵐。「1000回の大台おめでとうございます」と一人がマイクを向けるふりをし、次の目標は?と聞くと「おかげさまで」と感謝したあと「皆さんがこんな私をおだてて追っかけてくれたおかげです。これからはエージシュートのアンダー記録13アンダーを目指しますのでよろしくおねがいしま~す」と田中さんは応じ、さらなる飛躍を誓うのだった。自己のアンダー記録は84歳のとき新潟・紫雲CCを72のパープレーで回る12アンダー、エージシュートの快挙。以来、13アンダーが次の目標となっている。「まだまだ、これからですよ」と、“やる気”をアピールしてこの人らしい。

 

 1000回の大台を突破は87歳と22日目の快挙だった。71歳で初めて出したエージシュートは加齢とともに伸び続け86歳の昨シーズンは、年間自己最多の216回を数えるまで進化している。87歳となったいま、86歳の体力、技術、精神力を維持すればこの記録はさらに更新が約束されるがこの調子だと、とてつもない記録が期待できそうだ。
 元気で長生きは高齢化社会を迎えた日本社会が抱える重要なテーマとなっているなか、田中さんの生きざまは注目だが、それを一番意識しこだわる田中さんである。「コロナでうっとうしい生活を強いられるなか、ゴルフなんぞで何やってんだ、と言われるかもしれませんが、こんななかだからこそ頑張っていくのも大事なことじゃないかとやっております。コロナなんかに負けてられない、積極的に生きよう、とやっております」そんな気概が頼もしい。
 1000回達成のこの日、同伴競技者は91歳の遠藤芳作さん、80歳、長澤俊雅さん、81歳、久家博司さんの仲間たちだった。1000回を意識し、満を持した組み合わせ。このうち91歳、遠藤さんはこの日45,45の90で回るエージシュートを達成した。田中さんを囲む驚異のエージシュートの世界は元気を実践するエージシューターたちであふれかえっている。そんな世界を追々、紹介していく、お楽しみに。

 

 ◆田中 菊雄(たなか・きくお) 1935年3月3日、島根・松江市生まれ。87歳。神奈川・川崎市を拠点にリフォーム、食品など5社、社員400人を抱える「北山グループ」取締役会長。東京・よみうりGCなど4コース所属、ハンデ5。初エージシュートは06年8月、71歳のとき静岡・富士国際富士コースを70で回った。173センチ、65キロ。