安田祐香「好き」な難コースを39勝の名キャディーと安全策で攻め3差3位浮上


5番、ティーショットを放ち、笑顔を見せる安田祐香(カメラ・小林 泰斗)

5番、ティーショットを放ち、笑顔を見せる安田祐香(カメラ・小林 泰斗)

◆女子プロゴルフツアー 今季メジャー初戦 ワールドレディスサロンパスカップ 第2日(6日、茨城・茨城GC西C=6680ヤード、パー72、報知新聞社後援)

 7位から出た安田祐香(21)=NEC=が2バーディー、1ボギーの71で回り、通算3アンダーで3打差の3位に浮上した。歴代最多の男女ツアー39勝(非公式)を支えた清水重憲キャディーと即席の初タッグで今季ツアー最高の高速グリーンを攻略。昨年覇者の西村優菜に続く2000年度生まれ“ミレニアム世代”による大会制覇と、ツアー史上15人目の初V&メジャー初制覇を目指す。

 安田がしのいで、拾って優勝戦線に躍り出た。メジャーにふさわしい今季ツアー最速グリーンの難コース。出だしの10番パー4で左ラフから目前に木がかかる第2打を9アイアンでピン手前3メートルにつけて“しのぐ”バーディー。3番は第1打をバンカーに入れて最大の「ピンチ」となったが、40ヤードのアプローチで1メートル半に寄せてパーを拾った。

 出場120人で、この日のアンダーパーは、2日連続の安田含めて10人。ライバルたちが手を焼く中、予選2日間でボギーは1つだけ。「(難コース)は好きかな」と頬を緩めた。19年のオーガスタナショナル女子アマチュア選手権ではマスターズと同会場の高速グリーンを経験している。世界有数の難コースと比較しても「オーガスタ(ナショナルGC)より速い気がする」といい、2日間の出来に「ショットが荒れたが、ピンチをしのげたのがスコアにつながった」。大きな瞳がきらりと光った。

 “名軍師”に導かれた。当初はハウスキャディーと回る予定だったが、15年&16年賞金女王・イ・ボミのバッグを担いだ清水氏の予定が「たまたま」空いており、初コンビを組むことに。ともに「関西人」で会話も弾ませた。一打ごとに確認し、清水氏が「そうやね」とうなずく。難コースで安全策を敷いた。9番で第1打をドライバーで攻めず4ウッドで刻み、グリーン手前からのアプローチで寄せてパー締め。「安全に攻略できている」という安田に、清水氏も「我慢強い。難しいコース、メジャーに強い選手」と期待した。

 感情を前面に出さず、冷静に攻め抜くポーカーフェースだ。その裏には雪辱の思いがある。2週前のフジサンケイレディスは、3位からプロで初の最終日最終組で出たが、17番ボギー、18番ダブルボギーと終盤に失速。初Vを逃し、「バックナインでスコアを崩すのは優勝からは論外」と悔やんだ。コースを出た後、ツアーに同行する母・美香さんの前で涙があふれた。

 アマチュア時代にアマ日本代表で共闘した古江彩佳、昨年大会覇者の西村らに続く頂点へ、残り2日も難コースが立ちはだかる。「優勝を狙うよりチャンスがあれば。楽しみながら安全に攻めていく」。“母の日”の最終日に歓喜の涙を流す。(宮下 京香)

 ◆初優勝がメジャーなら 21年JLPGAツアー選手権リコー杯の三ケ島かな以来15人目(日本人では10人目)。この大会では19年大会の渋野日向子以来5人目。

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