驚異のエージシューター田中菊雄の世界170 武藤一彦のコラム-エージシュートは87歳半で1153回


 エージシュートを競技として定着し、高齢化社会を元気で長生きしよう。田中さんの主宰する一般社団法人「エージシュートチャレンジ協会」恒例のチャレンジカップの例会は11月15日、茨城ゴルフ倶楽部の東コースで行われ、田中さんは43,44の87。ぴったり年齢と同じスコアで回った。エージシュートは通算1153回を記録した。
 当日は雨でレインウエアを着てのラウンド。茨城ゴルフ倶楽部といえば、女子のメジャー競技「ワールドレディーストーナメント・サロンパス杯」の渋野日向子の初優勝の舞台。2019年、無名の新人渋野はその年の全英女子オープンも制覇、42年ぶりの快挙達成のシンデレラ物語につなげた。
 わが田中名人も期待に応えてほんとに元気である。33人が出場。大会規定の白ティー6300ヤード余、パー72をしっかりとスコアメーキング、結果を出した。エージシュートだけでなく、この日はアウトとインに設定されたドラコン、ニアピンの特別賞も田中さんはしっかり両方ともゲットし驚かせた。「エージシュートと併せて3冠だ」と驚きの声が上がったが、当然だ。大会には男子プロの小池春彦さんはじめ、クラブ対抗の代表を張るトップアマの顔もちらほら居て、ドラコン、ニアピンは同じ条件での争いだ。そんな中、名人は飛ばして良し、曲げずにピンそば、である。エージシューターの底力を、だれもが思い知ったものだった。

 

 エージシュート、1153回。さらりと書いてしまったが、信じられない数字だ。
 こんなデータが手元にある。84歳の時、田中さんの年間ラウンド数は217ラウンド、エージシュートは122回。それが85歳には308ラウンド、218回、さらに86歳時は、331ラウンド、エージシュートは年間246ラウンドである。だが、この86歳時については、田中さんは毎週1日しか休まずエージシュートをめざしすでに限界の数値となっている。一年は365日、田中さんは1年間で休みを取ったのはわずか34日だけだった。
 だが、それを言うと決まってこんな返事が返ってくる。「1ラウンドでドライバーを力いっぱいたたいたって1日で14回。あとはアイアン少々とアプローチとパット。たかがしれている。1日1万5000歩を歩く体力があれば、こんな楽しいスポーツはない」
 朝4時起き。草津温泉からトラックで取り寄せる自宅温泉の大きな朝風呂入ってじっくり柔軟体操、7時過ぎにコース入り、1ラウンド、午後2時ホールアウト。午後3時過ぎには神奈川・川崎の会社で午後6時過ぎまで会長職。夜は自宅で自転車こぎと電動マッサージ器で入念なマッサージ。就寝は11時。「疲れるのがおかしい、楽な生活です」-記録係の次男、北神秀樹さんがたたき出したこんな記録もある。エージシュートに成功した過去3年間の平均スコアである。84歳時が83・96ストローク、85歳では83・56、86歳は84・02歳と高度安定している。
 87歳時の今年10月末、エージシュートは158回を数え、来年3月2日、88歳の誕生日前日まで、あと丸6か月。エージシュートは年間250回ペース、試算では245回余なら新記録である。

 

 ◆田中 菊雄(たなか・きくお) 1935年3月3日、島根・松江市生まれ。87歳。神奈川・川崎市を拠点にリフォーム、食品など5社、社員400人を抱える「北山グループ」取締役会長。東京・よみうりGCなど4コース所属、ハンデ5。初エージシュートは06年8月、71歳のとき静岡・富士国際富士コースを70で回った。173センチ、65キロ。