岩井千怜1日2度の「直ドラ」で魅せた 米国でも「通用する」と新たな武器に…【番記者の視点】


岩井千怜

岩井千怜

 23日までの4日間、「大東建託・いい部屋ネットレディス」が福岡・ザ・クイーンズヒルGCで開催された。大会初日は岩井千怜(ちさと、ホンダ)、山下美夢有(みゆう、加賀電子)、稲見萌寧(Rakuten)の組のラウンドについて歩いた。そこで目にした、岩井千の1ラウンドで2度の「直ドラ」に驚かされた。

 スタートの10番パー5。通算4勝の岩井千はピンまで残り246ヤードの第2打で迷わずドライバーを選択した。グリーンエッジまで運び、2パットでバーディーとした。17番パー5でも第2打がピンまで残り242ヤードの場面で3ウッドと迷い、選んだのはやはりドライバーだった。左ラフに曲げ、右足下がりの傾斜に運ぶも、第3打をピン手前3メートルに運び、バーディーとした。「手前のバンカーをOKにしていた。ミスだったけど、気にしていない」と気丈に答えた。

 ラウンド後に話を聞くと、1ラウンドで2度の直ドラは「初めてかもしれない」と明かした。スタート直後の直ドラにも楽しまされたが、1日2発には記者も驚いた。ラウンドについて歩いている際、ギャラリーの方からも「あれドライバーだよね?」と声をかけられた。ファンの間でも浸透しつつある岩井千の直ドラの注目度を肌で実感した。

 5月の「RKB×三井松島レディス」では山下、双子の姉・明愛(あきえ、ホンダ)とのプレーオフの末、今季初優勝。プレーオフ2ホール目では、姉妹での「直ドラ共演」も披露して話題を呼んだ。「(あれで)できるんだ、と思った。違うコースでも使えそう」と手応えをつかみ、直ドラの回数が増えていった。ドライバーを選択するポイントは「2オンできるかどうかが大きい。バーディーのイメージが出る方を選択する」と説明する。

 初めての大舞台でも直ドラを披露した。海外メジャー、全米女子オープン(ペブルビーチGL)最終日の2番だった。ピンまで残り260ヤードで、積極的にドライバーを握った。ピン横2メートルにつけてイーグル。「グレートショット!」と米ツアーのギャラリーたちを沸かせた。「プレーで海外の人を魅了させたくてやった」という狙い通りの一打で、夢舞台に確かな足跡を残してきた。「直ドラは向こう(米国)でも通用する」と楽しそうに振り返った。

 直ドラをやりやすい状況は「左足上がり」のライだという。指一本分、クラブを短く持ち「ダフらないこと。あとは振り切ること」を気をつけている。さらに直ドラを多用することで、グリーン周りの技術も上達したという。「2オンを狙って、グリーンを外したときが大事だと思うので、そこはちょっとずつ練習して、自信にはなっている」。21歳は見ている人を楽しませたい、と思い始めたことがきっかけで、積極的な攻めのゴルフに、自分の技の引き出しも増えてきた。

 次戦は今季メジャー第4戦、エビアン選手権(27日開幕、フランス・エビアンリゾートGC)に出場する。その後はメジャー最終戦、AIG全英女子オープン(8月10日開幕、英国・ウォルトンヒース)と海外を転戦予定。米国で大成功した直ドラを、状況次第ではフランス、英国でも披露するチャンスだ。初メジャーの全米女子オープンは48位と健闘。次のメジャーでは、代名詞になりつつある直ドラも武器に、さらに上の順位を目指す。(ゴルフ担当・富張 萌黄)

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