驚異のエージシューター田中菊雄の世界185 武藤一彦のコラム


 それは、8月1日、よみうりGCを86で回りエージシュートを1220回の大台のせて始まった。気温33度を超える猛暑日が50日を越えた2023年の日本列島。猛暑の関東が拠点の88歳、田中さんのエージシュートが月間27回を数えたのは8月だった。
 4日、東京よみうりCCで91をたたき失敗したが、失敗はその1回だけ。直後の5日から15日まで11日間を連続、その数1233回と伸ばす。さらに17日からの8日間で連続記録は1241回。25日には大詰めで、グリーンが水浸しで記録を逃す不運に見舞われながら、翌26日から30日まで5日連続エージシュートで1246回と記録はぐんぐん伸びた。何より月間27回のエージシュートは生涯最多の快挙となった。
 8月31日は病院で経過診察がありプレーは休み。回っていれば月間プレーの記録は伸びていたが、、8月は途中、悪天候でプレーを中止したラウンドも入れ29ラウンドをこなし月間のラウンド数も19年のエージシュート人生を飾る最多記録となった。

 

 「月末の31日、担当医師に報告すると驚くより先にそんな無理して、と叱られた。でも夏のゴルフは暑いにきまっている。冬の寒さより暑い方が体にも健康にも良いといったら先生は驚き、あきれていた」という。

 

 夏は田中さんの“エージシュートの稼ぎ時”。頑張ったのだ。
 改めてデータである。月間エージシュート数27回は2021年8月の従来の記録26回を上回る新記録である。
 ちなみに当時86歳の田中さんは年間エージシュート数246回と絶好調。そして月間記録は26だった。何が言いたいか?その元気なピーク時の月間記録を今回88歳で上回って価値があることを強調したい。これはすごい記録なのである。
 さらに絶賛に値する記録がある。月間ラウンド数、29ラウンドだ。休んだのはわずか2日である。6月19日から9日間入院、5時間半に及ぶ胃のポリープの除去手術を受けた88歳は7月にはコースに復帰、エージシュート15回、そして8月、この大活躍である。これをなんと呼ぶか、奇跡の復活というしかない、と思うがいかがなものであろうか。

 

 ◆田中 菊雄(たなか・きくお) 1935年3月3日、島根・松江市生まれ。88歳。神奈川・川崎市を拠点にリフォーム、食品など5社、社員400人を抱える「北山グループ」取締役会長。東京・よみうりGCなど4コース所属、ハンデ5。初エージシュートは06年8月、71歳のとき静岡・富士国際富士コースを70で回った。173センチ、65キロ。