最終日の競技が悪天候のため中止になり、36ホールを終えて単独首位に立っていた今季初戦の臼井麗香(25)=フリー=が、通算13アンダーで涙の初勝利を飾った。1998年度生まれの「黄金世代」では14人目の優勝者になった。主催者推薦での優勝は昨年大会の山内日菜子以来5人目(アマチュアと外国人を除く)。
最終ラウンド中止のアナウンスが流れたクラブハウスに拍手が響いた。祝福の声に包まれた臼井の頬を、歓喜の涙が伝った。「すごくうれしいのが一番だけど、まだ夢を見ているみたい」。「れいちぇる」の呼び名で愛されてきたプロ7年目が、黄金世代14人目の勝者に名を刻んだ。
スイング改造に取り組み迎えた2022年を「一番苦しかった」と振り返った。思うようなショットが打てず、飛距離は20ヤード落ちた。練習ラウンドは「やめたい」と泣きながらプレー。「30歳まではゴルフをやるって決めている。そこまでは100%努力したい。諦めるということはしたくなかった」。負けん気の強さではい上がった。派手な外見から誤解されやすく、毎日のようにSNSに心ない言葉が届くが「アンチコメントであろうと、見てもらえることはうれしいこと」。発奮材料に変えてきた。
幼い頃は宝塚歌劇団を目指していた。「私のなかでグリーンは舞台」と口にする。最終日は中止となり、イメージした優勝シーンをかなえることはできなかった。「登壇みたいな感じで(18番)グリーンに上っていくのを勝手に想像していた。2勝目はそうなりたい」。次に迎えるその時を思い描いた。(高木 恵)
◆臼井 麗香(うすい・れいか)1998年12月7日、栃木県生まれ。25歳。日本ウェルネススポーツ大卒。9歳からゴルフを始める。2018年プロテスト合格。21年ワールドレディスサロンパスカップ2位。昨季のメルセデス・ランキングは134位。ゴルフブランド「チェルクラッシー」を自らプロデュース。家族は父・剛さん(52)、母・香理さん(51)、妹・蘭世さん(21)、弟・聖流さん(17)。158センチ、51キロ。