「花の89期生」28歳金沢志奈はプロ8年で191戦目、きょう悲願の初優勝にして完全優勝「バーディーチャンス」で狙う


1番、ティーショットを放つ金沢志奈(カメラ・馬場 秀則)

1番、ティーショットを放つ金沢志奈(カメラ・馬場 秀則)

◆女子プロゴルフツアー リゾートトラストレディス 第3日(25日、兵庫・関西GC=6545ヤード、パー72)

 プロ8年目の金沢志奈(28)=クレスコ=が4バーディー、1ボギーの69で回り、通算12アンダーの単独首位で初日から首位を譲らない完全優勝での初Vに王手をかけた。28歳だが、勝みなみ(25)、小祝さくら(26)ら1998年度生まれ「黄金世代」と同じ17年プロテスト合格組の「花の89期生」の一員。これまで190戦してトップ10入り25回も優勝はなし。自身3度目の最終日最終組で悲願の頂点に挑む。

 何度も悔しい思いを味わった28歳の金沢が初の栄冠に王手をかけた。16番で3メートルのバーディーパットを落ち着いて沈め、首位タイで並んでいた岩井明愛(あきえ、21)を一歩リードした。「ティーショットはあまり気持ち良く打てていないが、グリーン周りでカバーできた」。3日連続60台と安定したプレーで首位を守った。

 21年11月の伊藤園レディスの2位が自己最高成績だ。8年目の今季はトップ10が3度。2日目の後には「最終日にいつも伸ばせていない。去年まで崩れることが多かった」と反省を口にした。この日は第1打を右に曲げた9番で今大会初ボギーを喫したが「次、頑張ろう」と動じず、後半に3バーディーを重ねて盛り返した。

 所属事務所が同じ縁で17年以降、オフは元世界ランク1位で海外メジャー2勝の申ジエ(36)=韓国=の合宿に参加する。「憧れの存在」と尊敬し、「前後のことはあまり考えず、今立った場所で100%の力でプレーしよう」と授かった金言を胸に刻む。「前のホールを引きずらなくなった」と感謝した。

 4日間大会の完全優勝で初Vを達成すれば、88年のツアー制施行後では90年の西田智恵子、10年の宮里美香に続く日本人3人目となる。大学を経てプロ入りしたため、合格同期には黄金世代のメンバーがずらり。勝、小祝といった実績ある選手が並び、今でも89期生のグループLINEでつながる。コロナ禍以降、食事の機会からは遠ざかるが、優勝者が出ると祝福のメッセージを送り合う仲だ。「たくさんバーディーチャンスをつくって、優勝できるように」。今度は自らが主役になる。(岩原 正幸)

 ◆JLPGAの89期生 17年7月に富山・小杉CCで行われた最終プロテストではトップ合格の松田鈴英(れい)ら22人が合格。通算8勝(うちメジャー2勝)の勝、同10勝の小祝を筆頭格に、新垣比菜、吉本ひかる、植竹希望ら。98年度生まれから優勝者7人が誕生している。同じ黄金世代の渋野日向子、原英莉花は18年に合格で90期生。

 ◆金沢 志奈(かなざわ・しな)1995年7月29日、茨城・笠間市生まれ。28歳。8歳からゴルフを始める。同郷の後輩・畑岡奈紗(25)と出場した2015年の国体で団体優勝。中央学院大3年時の16年に日本女子学生選手権を制すると中退して、17年7月のプロテストに一発合格し、同年の下部ツアーで1勝。20―21年季、賞金ランク24位で初シード。164センチ、53キロ。

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