山下美夢有、家族でつかんだ全英 母・有貴さんは周囲の支えに感謝 父・勝臣さんはメジャー全制覇期待


◆米女子プロゴルフツアー メジャー最終戦 AIG全英女子オープン 最終日(3日、ウェールズ・ロイヤルポースコールGC=6748ヤード、パー72)

 女子ゴルフの山下美夢有(みゆう、24)=花王=がAIG全英女子オープンで初優勝した。山下の快挙を現地で見守った両親が最終日後、スポーツ報知の取材に応じ、喜びの声を寄せた。母・有貴さん(49)は娘の素顔を明かし、コーチで父の勝臣(まさおみ)さん(50)は今後、前人未到の5大メジャー全制覇を期待した。(取材・構成=岩原 正幸)

 今季のメジャーは初観戦だったという有貴さんは最終ラウンド後も興奮冷めやらぬ様子だった。「2日が美夢有の(24歳の)誕生日。これまで私の誕生日(5月5日)、父の日、母の日で優勝してくれていた。『1日遅れの自分へのプレゼントになったらいいなあ』と(本人と)話していて、それが実現して良かったです」と喜びに浸った。

 第3日(2日)は74で、後続に1打差に迫られた。その夜は家族で外食に出掛けた。母は「ショットの調子も良くなく、少し暗い感じだったけど、誕生日のお祝いして元気になって。最終日の朝練習で、パパ(勝臣さん)がショットを見て『いける』って。ほんま、良かった」と安どした。日本の応援団からも「美夢有ちゃん、誕生日おめでとう。最終日も頑張って」などとメッセージ動画が届き、本人も「頑張らなあかん」と決意して臨んでいた。

 今年から米ツアーに参戦し、偉業を達成した。「日本にいる時はパパが近くにいるけど、米国では時差もある中、LINE電話をつないで動画でスイングをチェックしながらやっています。今回は(父が同行し)美夢有自身が安心していました」と母。現在も米国での拠点は置いていないが、海外での食事面について「日本に栄養士の方もいて、米国では地域ごとに料理を作ってくださる日本人女性の方が寝泊まりして、日本食でサポートしてくれる。カロリーも考えてくれて、本当にありがたいです」と感謝した。周囲の支えで山下は転戦続きの生活も苦にせず。7月のエビアン選手権(フランス)後にはスイス、モナ�\x82\xB3観光も満喫した。

 パリ五輪(4位)でメダルを逃した悔し涙から1年。最終日は70と成長を見せ、コーチの父は「今朝(ショットで)頭が傾いていたのを直して、急に良くなった」とたたえた。さらに「次はグランドスラム(海外5大メジャー制覇)やね。取れるように頑張っていきます」と宣言。家族一丸で次なる夢へと突き進む。

◆美夢有に聞く「いい誕生日になって良かった」

 ―2日が24歳の誕生日で自ら優勝で飾った。

 「いい誕生日になって良かった」

 ―最終日は優勝を意識した18ホールだったか。

 「1番ホールからすごい緊張したけど、落ち着いてプレーに集中して、特に一番近くで支えてくれたキャディーさんにも本当に感謝してます。一緒に優勝できたのもうれしい」

 ―持ち味を生かした。

 「今回は安定したゴルフができて、その結果、優勝につながった」

 ―19年に渋野が全英女子オープンで優勝。メジャーや米ツアーに憧れる一因になったと話していた。

 「メジャー大会は本当に特別な大会で、優勝するのも本当に難しいと思ってたけど、そこで勝つのは自信になると思っていた。コツコツやってきて、優勝を達成できたのは良かった」

 ◆全英女子オープン 1976年に大会が創設され、2001年からメジャーに昇格。昇格前の84年に岡本綾子が優勝している。女子のメジャーはシェブロン選手権、全米女子オープン、全米女子プロ選手権、エビアン選手権の5大会。

 所属花王祝福「勇気と感動」 〇…山下が所属する花王は4日、同社公式Xで「本当におめでとうございます」と祝福した。プロゴルファーでは初の同社所属選手として今季から契約し、山下は同社の日焼け止め「Biore UV」のロゴが入ったサンバイザーを着用してプレー。同社は「ひたむきにゴルフに向き合ってきた姿勢が実を結んだ瞬間…世界に挑戦を続ける姿に勇気と感動をもらいました!」と偉業をたたえた。

 渋野が藍さんがSNSで祝福 〇…山下の快挙をゴルファーが続々とSNSで祝福した。2019年大会覇者の渋野日向子は「さいっっっこうだ。おめでとうございますみゆうさん」と投稿。米ツアー9勝の宮里藍さんは「涙出たわ」に始まり「重圧を感じさせないプレーで集中力高かった…! でも4日間きっとすごい葛藤はあったと思う。強かったーー! 本当におめでとう!」とつづった。21年マスターズ優勝の松山英樹も「Congratulations」とくす玉の絵文字つきで祝った。

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