
5年ぶり7勝目を挙げて優勝トロフィーを手にVサインする笠りつ子(カメラ・今西 淳)
◆女子プロゴルフツアー Vポイント×SMBCレディス 最終日(22日、千葉・紫CCすみれC=6731ヤード、パー72)
1打差2位で出た38歳の笠りつ子(PGM)が、逆転で5年ぶりとなる通算7勝目を挙げた。主催者推薦で出場したプロ21年目のベテランは4バーディー、2ボギーの70で回って通算3アンダーとし、佐久間朱莉(しゅり、23)=大東建託=、神谷そら(22)=郵船ロジスティクス=ら若手実力者との混戦を制した。昨年、ルール誤認でホールアウト後にペナルティーを受けた大会で遂げた、涙の復活劇だった。
笠の瞳が、みるみる潤んでいった。18番パー5。3メートルのバーディーパットを沈め、勝ちきった。グリーン近くで見守った小祝さくら、菅楓華らと歓喜のハグ。5年ぶりの勝利に、「やったー! やったー!」と繰り返し叫んだ。「もう勝てないと思っていた。諦めなくてよかった」。勝って流す、初めての涙だった。
最終組の3人がトップに並んで折り返す大混戦。昨季ランキング1位の佐久間、同2位の神谷が相手だ。21年目のベテランの今週のテーマは「気」。気合と気楽のバランスを大事にクラブを振った。13番で第2打を1メートルにつけてバーディー。第1打を右林に曲げた14番は、4メートルをねじ込みパーをセーブした。17番のボギーで神谷に並ばれた。18番のティーグランドに向かう途中、祈った。「ゴルフの神様、お願い!」。バーディー締めに右拳を握った。
アラフォー女性はプロゴルファーという職業と、プライベートでの幸福の間で揺れている。「ずっとこの舞台で戦い続けるのか」。第2の人生について考えることが増えた。同年代が結婚、出産を経験していく。「どうするんだろう、私。この先どう生きていくんだろう。分からない」。幸せも手にしたい。「とにかく今年は1勝して気持ちを楽にしたかった」。7度目の優勝は、頑張ってきた自分へのねぎらいにもなった。
昨年の悔しさは今も頭にあった。ルール誤認でホールアウト後にペナルティーを受け、最終順位は7位から13位に変更になった。日曜の夜、ネットニュースのコメント欄が荒れた。19年にはコース関係者に暴言を吐いたことで、しばらくツアーを欠場した。「ああ、またやっちゃった。なんで私って、いつも世間を騒がせるんだろう」と落ち込んだ。「昨年は悲しかったけど、今年はうれし涙でリベンジできた。一戦一戦、戦っていきたい」。38歳。迷いを抱き、受け入れながら、前に進む。(高木 恵)
◆笠 りつ子(りゅう・りつこ)1987年11月4日、熊本・菊陽町生まれ。38歳。ゴルフ練習場を経営する父・清也さんの影響で9歳からゴルフを始める。2006年に東海大二高(現・東海大熊本星翔高)を卒業、同年のプロテストに一発合格。11年ニトリレディスで初優勝。21年ヨネックスレディスでツアー6勝目。昨季はメルセデスランキング56位でシード落ち、16年ぶりに予選会に出場した。160センチ。

