報知新聞社主催 男子プロゴルフツアーメジャー最終戦 日本シリーズJTカップ第1日(1日、東京・東京よみうりCC、7023ヤード=パー70)
賞金ランク2位から賞金王を狙う谷原秀人(38)=国際スポーツ振興協会=が1イーグル、3バーディー、ボギーなしの65で回り、5アンダーで武藤俊憲(38)=フリー=と並んで首位スタートした。賞金ランクトップの池田勇太(30)=日清食品=は首位と3打差の2アンダー7位。谷原が約3077万円の差を逆転して賞金王になるには、優勝が第一条件。最終日まで、人事を尽くして天命を待つ。
「諦めが悪い男」谷原が、逆転賞金王へ最高のスタートダッシュを決めた。逆転の条件は最低でも優勝。道のりは険しいが、首位発進に「自分でもすごいと思います」と自画自賛した。「ここ(初日)でオーバーパーなら取り返せない。絶対にアンダーパーで回りたかった」という逆転プランを軽々とクリア。「諦めが悪いのか、本当にそこしかないですからね」と自嘲気味に決意を口にした。
開幕前から「グリーンの勝負になる」と見ていたが、序盤は「例年よりも芝が元気で、たぶん今日は入らないな」とパットで苦戦。それでも「ショットはストレスがなかった」と6番パー5で残り255ヤードの2打目を、3ウッドでピン左4メートルにつけてイーグル。14番では残り115ヤードの2打目をPWでピン左20センチに絡めるスーパーショット。2012~14年に3年連続平均パットランク1位(今季は4位)に輝いた名手は「グリーンを攻略できずに終わった」と悔やんだが、シリーズ出場10回目で初めて首位発進し、地力を見せた。
賞金ランクは池田を追うが、首位発進で追われる立場にもなった。1打差の3位につける東北福祉大、所属の後輩の藤本佳則(27)にはシリーズ中も毎日食事をおごり「今日、痛めつけておきます」。首位に並ぶ同じ38歳の武藤の挑戦状には「ウェルカムです」。3打差7位につけるライバル・池田に対しても「世界ランク37位で相当うまい。勉強になる」と語る懐の深さを見せた。
7月の日本プロ選手権は、最終日に首位の武藤に最大5打差のリードをつけられたが、プレーオフ(PO)に持ち込んで初のメジャー制覇を果たした。11月の平和PGM選手権の最終日でも、16番からの2連続バーディーで池田に追いついてPOを制し「諦めが悪いと、ああいうふうにはまる時もある」と痛感した。ツアー最終戦での逆転賞金王は、00年の片山晋呉だけ。谷原が優勝しても、タイトルの行方は池田の成績次第だが「ベストを尽くして今年1年を終われたらそれでいい」と最後の最後まで諦めない。(勝田 成紀)
◆谷原の逆転賞金王 賞金ランク1位の池田とは3076万6429円差。谷原が賞金王になるには今大会優勝(賞金4000万円)が最低条件。なおかつ、池田が3人までの2位タイ(賞金約1040万円)、単独3位(賞金1000万円)に入らないことが不可欠となる。日本ゴルフツアー機構によると、最終戦での逆転賞金王は1973年のツアー制施行後、2000年のファンケル・オープンin沖縄の片山晋呉だけ。