報知新聞社主催 男子プロゴルフツアーメジャー最終戦 日本シリーズJTカップ第1日(1日、東京・東京よみうりCC、7023ヤード=パー70)
昨年覇者の石川遼(25)=カシオ=は2バーディー、2ボギーの70で回り、イーブンパーで首位と5打差の16位でスタートした。来年から再挑戦する米ツアーの難コースを見据え、64度ウェッジを投入。アイアンショットが乱れてスコアを伸ばせなかったが、高く舞い上がるロブショットを披露し、ギャラリーを沸かせた。前週のISPSハンダ・ワールドカップ(豪州)からの強行日程を乗り越え、大会史上6人目の連覇をつかむ。
転んでもただでは起きない。14番の第3打。石川がグリーン奥のラフから64度ウェッジで鮮やかな放物線を描いた。5メートルほど上がった球を見上げたギャラリーは「おー!」と歓声を上げた。ピン右奥50センチにポトリと落としてナイスパー。「米ツアーで求められた時にやりたい。64度でよかった」。16位と出遅れた中での確かな収穫となった。
難コースだらけの米国をにらむ。海外の猛者が集まる米ツアーはラフが深く、ピンがグリーン端に設定される。崖下にこぼした場合はリカバリーが必要だ。「これがあれば攻められる。ショートゲームの長所を伸ばしたい」。攻撃ゴルフを貫くため、それを支える武器がほしい。以前から使う58度ウェッジのロフト角を64度に寝かせた、プロでも珍しい仕様だ。ヘッドがペタリと地面に着いたクラブで、前日の練習とプロアマ戦で感触を確認。高みを目指し、ピンチを救う“究極のロブ”を追い求めた。
だが、前週からのアイアンショットの不調が尾を引いた。左に曲げるドロー狙いで放った球が右に抜けていく。「(原因は)あまり分かっていない。分かっていたら試合中に直せた」と頭を抱え、ラウンド後は練習場に直行した。新たに入れた小ぶりヘッドのドライバーは「本当によかった。振っていける」と強振しても制御できた。逆転にはアイアンショットの復調がカギとなりそうだ。
11月29日に帰国し、30日にはプロアマ戦に出場した疲労が残るせいか、ラウンド中はストレッチで入念に体をほぐす場面もあった。13番ではバナナで栄養補給。強行日程にも「体調は問題ない」と言い訳はしなかった。「攻めていけば(感覚は)そのうち合ってくる。一プレーヤーとして優勝を目指したい」。ツアー通算14勝の中で何度も披露した猛チャージ。出遅れはスーパースターの“前振り”かもしれない。(浜田 洋平)