昨年暮れにスタートしたこの海外ゴルフ情報コラム、今年もニュージーランドからいろんな情報を発信していきたいと思っています。皆さまどうぞ宜しくお付き合いください。
さて、今回は年末年始にかけて実施したジュニアゴルフニュージーランド (以下JGMZ)サマーキャンプのレポートをお送りします。
場所はニュージーランド南島クライストチャーチから北に30分程に位置するランギオラGCとペガサスGCの2コース。期間は3週間。参加してくれたのは日本から参加の14歳女子ジュニア(匿名希望、ベストスコアは80)。そして、長男の一磨(15歳、ベストスコア66)と、アメリカの大学からクリスマス休暇で帰国中の長女・桃花(17歳、ベストスコア65)の2人を練習パートナーとして加えた計3名でスタートです!
今回のキャンプは、ちょうどタイミングよく地元のナンバー1ジュニアを決めるカンタベリーU19チャンピオンシップへの参戦からスタートすることができました。このトーナメントは1日で36ホールをプレーします。キャディー、カートは無し、各自手引きカートでのプレー。ちなみに親の観戦は自由なので、プレーヤー同様にフェアウエーを歩きながら子ども達のプレーを見守ることができます。
勝手の違う若干ローカル色強めな試合の雰囲気、どうかなぁ~というこちらの心配をよそに、14歳ジュニアは初めてのコースで午前84、午後81と自分の実力を十分に発揮し、ニュージーランドらしいフレンドリーな雰囲気の中でのプレーを楽しんでいましたよ~(ホッ)。
試合後にじっくり話を聞いたところ、自身目標としている70台でのプレーを実現するためには、やはりショートゲーム上達は絶対外せないですっ!とのこと。うん、僕も大賛成!!
ということで、翌日からは早速ショートゲームに特化した練習メニューをスタート。ちなみに普段ジュニアが行っている練習内容は、プロによるスタジオでのレッスンが週1回と週末のラウンドがメイン。パットやショートゲームは練習する場所も身近に無く、レッスンも受けたことがないとのこと。いやー、その環境で14歳にしてベストスコアー80ってある意味驚異的な数字ではないかと(笑)。
分からないなりに手探りでなんとかしようと1人頑張ってきたジュニアに「よくぞここまで」と胸が熱くなりまして、よーしそれならば、なんとか手応えとこれからの道すじが拓けるような内容のプランをと、まずはランギオラのコーチ・ピーターのレッスンとスクリーニングを受け、アドバンスドゴルフでテクニカル解析。ショートゲームは年代の近い桃花と一磨の意見も取り入れた段階を追ったドリルメニューを作成し、早速取り組むこととなったという次第。
えっと、ここでキャンプの基本的なスケジュールをご説明。午前中の3時間はショットの打ち込み、特に100ヤード以内の精度を重視してドライビングレンジで過ごします。もちろん、練習施設は全面天然芝。ランチを挟んで、午後はパットとショートゲームの個別ドリルを練習グリーンで3時間、1日の最後はコース上での実戦練習、コースに出てからもやっぱりショートゲームが中心。言わずもがな、100ヤードを切ったところからが競技ゴルフでは大切な局面ですからね。
この時期ニュージーランドのノースカンタベリーは夜の9時半まで明るいんです。特に夕方は5時ぐらいから日差しも和らいでそよ風が吹き始めそれはもう心地よい陽気。いつまでも練習したい気持ちもありますが、そこは翌日に疲れを溜めないように、極力夕方6時には練習を終えるよう心掛けます。
ちなみに、参加者からの特別な要望が無い限り、走り込みやジムといったフィジカルトレーニングはメニューに取り入れません。それは、日本で出来ることは日本でやってもらい、ニュージーランド南島ノースカンタベリーに来たら、日本では出来ないことにたっぷり時間をかけて楽しんで欲しい、という思いがあるからなんです。
さて、2週間黙々とショートゲームのドリルに取り組んで迎えた、元旦のランギオラGC・ニューイヤー トーナメント。終始、風速30~40kmの強風が吹き荒れる(!)コンディションのなか、14歳ジュニアは見事に6オーバーでフィニッシュ。強風の影響からグリーンヒットはたった6回。にもかかわらず、辛抱強くアップ&ダウンでパーセーブを重ね、見事にパーソナルベストを2打更新。しかも17番のパー3ではなんと!ニアピン賞もゲットという嬉しいおまけもありました 。ラウンドを見せてもらいましたが、グリーンを外してもショートゲームで何をすれば良いか分かっているので慌てる必要がないという自信が、クラブ選択や状況判断、延いてはパッティングにも好影響をもたらしていました。メンタル面での強さもUPし、粘り強いジュニアの持ち味が生かされた、素晴らしい内容だったと思います。
今はサマータイムのニュージーランド南島ノースカンタベリー。ここは温泉、マッサージ、ナイトライフを楽しむアフターゴルフ天国ではありません。でも、昼から夕方へと切り替わるほんの一瞬の静寂に、雲が流れる高い空を仰いで鳥の声にしばし耳を傾ける。遅い午後の日差しに照らし出されたゴルフコースの美しい陰影を楽しみながらゆっくりと歩く。在るのは、青い空、フェアウエー、グリーン、そしてボールに向かう自分だけ。うん、こんなゴルフ天国(ヘブン)も悪くはないなって、僕は思っています。
◆小堀亮三
1966年生まれ、神奈川県出身。中央大学仏文科を3か月で中退後、オフロードバイクのレースに参戦するために単身渡米、その後10年に渡り住み続けることとなる。UCSD卒業(カリフォルニア大学サンディエゴ校)。ニュージーランドの広大なオフロードトレイルライディングに魅せられ、2007年、妻、娘(当時8歳)、息子(当時5歳)の家族4人でニュージーランドへ移住し1年と半年後に永住権を取得。ふとしたきっかけでニュージーランドがゴルフ天国であることにも気づき、自身もどっぷりとはまり腰を痛めることに。今はゴルフに熱中する子ども達をサポートするかたわら、ジュニアゴルフNZを運営。
職歴 オフロードバイク業界でイベント企画運営をメインに輸入卸売、コラム執筆等、多岐に渡り30年。が、ゴルフに熱中する子ども達の影響と数々の幸運な出会いにより、一念発起、50歳でジュニアゴルフNZを開業する。現在はバイクとゴルフ2足の草鞋を履き、日本とニュージーランドを行ったり来たりの生活を送っている。
活動拠点 ニュージーランドでは南島のランギオラ。日本では群馬県の浅間高原、北軽井沢
趣味 家庭菜園とブログの更新(http://juniorgolfnewzealand.blog.jp)