◆女子プロゴルフツアー ダイキンオーキッドレディス最終日(5日、沖縄・琉球GC、6617ヤード=パー72)
単独首位で出た男子ツアー通算6勝の“怪物”川岸良兼(50)の次女・史果(22)=加賀電子=が1バーディー、5ボギーの76で回り、国内女子開幕戦を通算5アンダーで自己最高の2位と健闘した。プロ転向1年目でのツアー初優勝はお預けとなり、国内女子初の親子Vを逃したが、通算23勝目を挙げたアン・ソンジュ(29)=モスバーガー=が素質を絶賛。ルーキーイヤー3勝の父に負けじと、飛躍を目指す。
たった1打の差が、大きく感じた。2位と2打差の単独首位で出たが、強風にショットが乱れて76の5アンダー。アプローチで寄せられない場面が目立ち、国内女子初の親子Vを逃した。初の最終日最終組で賞金女王3度のアンに敗北。前日までスコアを支えたアイアンショットが影を潜めた。「緊張した。自分の首を絞めたラウンドだった」。悔しさをかみ殺した。
“怪物2世”の片りんは見せた。父譲りのドライバーショットは4日間で全体7位の平均飛距離248ヤードで、パーオン率77・77%は同トップ。後半2日間で同組のアンは「私が22歳で勝った時の雰囲気。飛距離も出るし、ショットが素晴らしい。試合に出るほどうまくなる」と絶賛。1打差に食らい付き「今後、彼女のゴルフに注目したい」と最強プロを振り向かせた。
初めて重圧の中で優勝を争い、父の偉大さを痛感した。2月に不動裕理(40)と合宿し「試合で緊張しますか?」と質問。通算50勝の大先輩も、初VとメジャーVの時は動揺したと聞いた。「同じにならないようにしてる」とマイナス思考の父を反面教師にしてきたが、プロ1年目に3勝。開幕戦で1打の重みを味わい「お父さんはどうなんだろう?」と心に変化も生まれた。
父には普段から「俺はお前より(プロで)稼いでいる」と言われる。だが、バッグを担いだ女子プロゴルファーの母・麻子さん(50)が、タイ合宿中の良兼に電話報告すると「あと1打はどうにかならなかったのか!」ともどかしそうだったという。「16番でたたいたので『何やってんだよ』って言われそう。早く勝って父に報告をしたい」。近いうちに腕組みする父をギャフンと言わせる。(浜田 洋平)
◆川岸 史果(かわぎし・ふみか)1994年10月13日、神奈川・横浜市生まれ。22歳。10歳でゴルフを始め、2009年全国中学校夏季大会優勝。同年のNEC軽井沢72でツアーデビューし、16位でローアマを獲得。日大高では11年全国高校選手権優勝。昨年7月に4度目のプロテストを7位で合格。同12月の最終予選会26位で今季出場権を獲得。家族は両親と姉。