◆女子プロゴルフツアー・サントリーレディス 最終日(11日、六甲国際GC)
33位で出た宮里藍(31)=サントリー=は5バーディー、4ボギーの71で回り、通算2アンダーの26位で今季限りの引退表明後初の大会を終えた。18番でエッジからの4メートルをパターでねじ込みガッツポーズ。ギャラリーの声援に笑顔で何度も手を振って応えるうちに感極まり、目には涙がたまった。何度か指でぬぐった。「みなさんに対して、ありがとうございますという感謝の気持ちしかない。たくさんの方が足を運んでくれて…すごいうれしかったです」と声を詰まらせた。
藍にとって、平常心を保つことは難しい一日だった。「朝からやばかった」。スタート前の練習も手につかないほど感傷的になりかけた。しかし1番のティーグラウンンドに立った瞬間に、不思議なほどすっと集中できた。9132人が詰めかけた最終日。後半の藍劇場に、拍手と歓声はホールを追うごとに大きくなっていった。10番で花道からチップインバーディーを決めて両手を突き上げた。12番パー5ではグリーン右のバンカーからの第3打を放り込み、右の拳を握りしめた。「泣きそうだった」が、なんとかこらえた。4日間で大会最多の3万4750人が集まった。「私のプロゴルファー人生で、これ以上ない幸せを味わった1週間だった」と喜びをかみしめた。
今後の日本ツアー参戦については未定。今季の海外メジャーは全米女子プロ選手権、全米女子オープン、全英リコー女子オープン、エビアン選手権と4試合残っている。「向こうでメジャーを戦ってみて、自分の気持ちに正直になって『行けそう』と思ったら出たい」と話すにとどめた。
惜別ムードいっぱいの今大会を戦い抜いた。週明けには米国へ渡り、23日開幕のアーカンソー選手権に出場する。「シーズンは終わりじゃない。できれば結果で最高の恩返しをしたい。しばし、お付き合い下さい」。当分は最大目標のメジャー制覇へ集中する。