◆米男子プロゴルフツアー メジャー最終戦 第99回全米プロ選手権第1日(10日・米クウェイルホローC)
【シャーロット(米ノースカロライナ州)10日=岩原正幸】世界ランク3位の松山英樹(25)=LEXUS=が6バーディー、5ボギーの1アンダー70で首位と3打差、大会自己最高タイの15位で好発進した。出だしの10番と最終9番に約15メートルのバーディーパットを決めるなど、優勝した前週から投入したマレット型の新パター「テーラーメイドTPコレクションミューレン」が火を噴いた。後半3連続ボギーも、メジャー初の3連続バーディー締めで初Vへ可能性をつないだ。
これまでとはひと味違う、躍進を予感させる締めくくりだった。最終9番。ピン奥15メートルのバーディーパットを沈め、真昼の日差しにスポットライトのように照らされた松山は両手でガッツポーズ。メジャー自身初の3連続バーディー締めに「僕もびっくりしました。パーで上がれたらいいと思っていたのでラッキー。おまけみたいな感じ」と照れ笑いした。
前週、投入したマレット型の新パターがいきなり火を噴いた。出だしの10番。16メートルのバーディーパットをねじ込み、11番も4メートルの下りのスライスラインを沈めて伸ばした。午前7時45分のティーオフ約1時間半前。まだ薄暗い中でエースパターのピン型で練習も不調。前週のベント芝と異なるバミューダ芝のグリーンにどちらで臨むかを「ギリギリまで迷った」という。
エルス(南アフリカ)、ポールター(英国)と同組。4番のティーグラウンドで競技員から「前の組との間が空いている」と警告を受けた。その影響か松山は4番、5番と3パットで連続ボギー。5番ではタップインしようとした1メートルのパーパットを「“お先”して」外した。だが「流れが悪くなればボギーを打つし、入る時は入る」と精神的にブレることなく立て直した。
61を出した、前週のブリヂストン招待最終日から試合をまたいで2ラウンド連続の終盤3連続バーディー締め。メジャーで一日2発も15メートル以上のロングパットをねじ込んで伸ばしたのは初だ。これまでのメジャー20戦で見せたことのない長い射程。連日の雨でも速く、硬い難グリーン。ショットが万全でなくても、メジャー制覇への可能性を感じさせた“神パット”だった。
全米プロは2008年以降、9年間で6人のメジャー初優勝者が誕生。過去2年連続でデー(豪州=15年)、ウォーカー(米国=16年)が初のメジャータイトルを手にしている。松山の上位にいる14人のうち、メジャー覇者はケプカ(米国)だけ。日本男子歴代最高に並ぶ2位となった6月の全米オープンと似た展開だ。5年連続の出場で初日に首位と3打差は過去最少。「(明日のことは)寝てから考えます。今日は疲れました」。自身初の2週連続優勝へ向け、持てる全ての力を振り絞る。