◆男子プロゴルフツアー ISPSハンダ マッチプレー選手権最終日(10日、千葉・浜野GC、7217ヤード=パー72)
賞金王5度の片山晋呉(イーグルポイントGC)が安定感抜群のゴルフで、H・W・リュー(36)=韓国=に3&2で勝ち、ツアー通算31勝目を挙げた。今季初優勝で20年連続の日本シリーズJTカップ(11月30日開幕・東京よみうりCC)出場を決め、ツアー史上最高賞金の5000万円を獲得。1973年のツアー制施行後、77年の日本マッチプレー選手権の橘田規(43歳25日)を更新する史上最年長44歳222日での栄冠となった。3位決定戦は高山忠洋(39)=スターツ=が制した。
大会7日間にわたった“片山劇場”は最後まで劇的だった。計7試合で129ホール目の16番パー5。片山は残り209ヤードのフェアウェー中央から、5ユーティリティーでピン右1メートル半へ。「風、距離ともぴったりで今大会一番のショット」と鮮やかなイーグル締めで、プロ転向後初のマッチプレータイトルを獲得。その場でひざまずき2度、両手でグリーンをたたいて、昨年10月以来となる31度目の喜びに浸った。
「今までの優勝で一番大変でしたね。(オフからの)練習ラウンドを合わせたら200ホールはこのコースで回っている。この年で、一番確率の低い試合で勝てたことは大きい」。国内ツアー史上最年長のマッチプレー王者は、会見場で達成感に酔いしれた。
昨季の平均飛距離は278・89ヤードでツアー46位。今季は57位ながら287・39ヤードと約10ヤード伸びた。C・キム(米国)や米ツアートップ選手たちの動画を見て研究。「打ち方を変えてすごく飛ぶようになった。ウッズまで100年くらいは変わってなかったけど、ここ5年でジャストインパクトじゃなくて、ずれてインパクトすることがいいとされてきた」とインパクトを左足の前へとずらした。「また新しい技術を見つけて、まだ俺にも伸びシロがあると思った。1ミリでもうまくなりたいですね」と確かな成長に自信を深めた。
ツアー単独5位となる31勝目で、日本シリーズJTカップに20年連続出場も決定した。賞金ランク首位のキムと約2300万円差の4位へ急浮上。08年以降の7勝はすべて9月以降で今後、歴代優勝大会が続く。「JTは青木功さんの21年連続に並びたい。秋は抜群の相性の試合ばかりなのでワクワクしますね」と不敵に笑った。柔軟な思考を持ち、最近はスマートフォンでのインスタグラムにはまる44歳。9年ぶり6度目の賞金王も視界に入った。
(榎本 友一)