◆女子プロゴルフツアー NOBUTAグループ マスターズGCレディース 第3日(21日、兵庫・マスターズGC=6507ヤード、パー72)
超大型で非常に強い台風21号の影響により、男女国内ツアーが歴史に残る珍事に見舞われる可能性が出てきた。1999年の日本ゴルフツアー機構(JGTO)発足以降、最終日の競技が男女そろって同日に中止されれば史上初。21日は雨の中で行われ、男子はツアー通算1勝の時松隆光(24)=筑紫ケ丘GC=が通算9アンダーで、女子では同12勝の上田桃子(31)=かんぽ生命=が通算11アンダーで、ともに単独首位に立った。中止なら逃げ切りVとなる。
経験の差がスコアに表れた。土砂降りの雨の中、上田は3日連続で畑岡と同組対決。水の浮いたコースでも正確性を失わずボギーは1つだけ。「悪天候で高い集中力を出せたのは自信になる」。最終18番では15ヤードのチップインバーディーで11アンダーの単独首位。大歓声を浴びる迫力に、畑岡も思わず笑ってしまった。
最終日が中止になれば、この日までの成績で決着。その意識が働き、和やかな空気が緊張感で満ちていった。「最終日みたい。久しぶりで『あぁ、これこれ』って思って回った」。相手は今季国内6戦2勝の18歳。07年に初優勝から5勝を挙げ、賞金女王になった自分と重なった。「若いって、いいな」と一度は声を漏らしつつ、バーディーで拳を握る畑岡を見て「気合が入っていた。『それなら、負けないぞ』という感じ」と持ち前の負けん気が爆発した。
心は熱く、頭は冷静だった。昨年12月に亡くなった元巨人打撃コーチの荒川博氏(享年86)から約半年間の指導を受けた。「あいつは絶対に大丈夫だから焦らせるな」。恩師が上田の周囲に伝えた言葉を、20日夜に関係者から聞いた。「頭にそれを置いてプレーした。ゴルフの怖さを知っている」。試合までの徹底した準備が自信になった。
5か月ぶりの今季2勝目なら賞金ランクは最高で4位に浮上。日本女子プロゴルフ協会と大会主催者は22日午前5時50分に1度目の協議を行い、開催可否の判断を下す。「いいスタートができるように準備したい」。元女王は18歳にも荒天にも負けない。(浜田 洋平)
◆男女とも最終日が同日に中止になった例 99年のJGTO発足以降では1度もない。ただ13年10月20日、富士通レディース(千葉・東急セブンハンドレッドC西C)最終日は豪雨によるコース不良で中止に。同日開催の日本オープン(茨城GC東C)最終日は豪雨で中断されたが、予備日の21日に順延となった例がある。
◆最終日の天気予報 男子の袖ケ浦CCがある千葉市は降水確率90%。第1組スタートの午前8時は降水量7ミリ、風速5メートルの予報。女子のマスターズGCがある兵庫・三木市は降水確率100%。第1組スタートの午前7時30分は降水量8ミリ、風速6メートルの予報。