◆男子プロゴルフツアー 東建ホームメイトカップ第1日(12日、三重・東建多度CC名古屋=7081ヤード、パー71)
6年ぶりに国内ツアーを主戦場とする石川遼(26)=カシオ=が国内開幕戦で8バーディー、ボギーなしの63で回り、単独首位スタートを切った。今季、史上最年少で選手会長を務める石川は公約に掲げていたギャラリープラザ(飲食スペース)でのヒーローインタビューを実施するなどコース内外で大活躍した。1打差の2位は重永亜斗夢(29)=ホームテック=ら2人。
石川が“攻めダルマ”と化した。最終9番パー4。「7アンダーまで伸ばしたから、最後はパーでいいか…」と一瞬、堅実な戦略を立てたが、すぐに考えを改めた。「攻められるだけ攻めよう」。第1打は刻む選手が多い中、ドライバーを強振。打ち下ろしの追い風とはいえ約360ヤードをかっ飛ばした。残り60ヤードをピン手前2メートルにつけて8つ目のバーディーをもぎ取った。
6回目の出場の今大会で自己最高の63。16年のANAオープン以来の初日単独首位に立った。先週は千葉と岐阜で2日間競技の地方オープンに“中0日”で参戦し、連勝。3連勝の期待が高まるが、石川は「ミスが多く、手放しで喜べる状況ではない」と慎重に話す。昨年、米ツアーのシード権を失い、さらに国内ツアーでも10~11月に5大会連続で予選落ち。大幅なスイング改造に乗り出したが「完成度はまだ50~70%を漂っている」。4番パー5の第1打は左に曲げ、男性ギャラリーに直撃。幸い、大事には至らなかったが「動揺した」という。「(明日以降も)僕が打つ時は気をつけてください」と神妙な表情でファンに呼びかけた。
今季、6年ぶりに日本ツアーに本格復帰。1月には史上最年少で選手会長に就任した。この日、出だしの10番で「選手会長、石川遼!」とアナウンスされると大歓声が響いた。本調子ではなくとも注目されるほど力を発揮するのはスターの証し。「スコアは調子と比例しない」とゴルフの奥の深さを格言のように表現できるのも石川ならでは、だ。
ホールアウト後はギャラリープラザに向かい、約200人の観衆の前でヒーローインタビュー。選手会長として発案した男子ツアー人気回復策を早くも実行した。「JGTO(日本ゴルフツアー機構)最高!」とファンと一緒に叫んだ。選手会長は“選手快調”。2018年、主役であり続ける。(竹内 達朗)