◆男子プロゴルフツアーメジャー第3戦第147回全英オープン第2日(20日、英国・カーヌスティゴルフリンクス=7402ヤード、パー71)
【カーヌスティ(英国)20日=榎本友一】タイガー・ウッズ(42)=米国=とメジャー初の同組対決に臨んだ松山英樹(26)=LEXUS=は1イーグル、2バーディー、1ボギー、1トリプルボギーの71と伸びず、通算4オーバーの80位で1打及ばず予選落ち。14番で全英初イーグルを奪うも、18番のトリプルボギーで急降下した。日本のエースは、今季メジャー3戦で優勝争いに絡めていない。
松山の今季の悪い流れを象徴するような幕切れに見えた。最終18番。へびのように小川がうねる「バンデベルデの悲劇」で有名な名物ホール。左ラフからの第2打は「前の土手に当たったと思う」と左の観客席付近のOB区域へ。3メートルのダブルボギーパットはカップに蹴られ、99年にV逸したバンデベルデと同じトリプルボギーで1打及ばず予選落ち。取材エリアでは感情を押し殺し「残念です」という言葉を3度発した。
雨でグリーンが軟らかくなった第2Rは高精度のアイアンショットが本領を発揮した。パーオン率72%でチャンスを量産もパットが入らず流れに乗れなかった。「悪くはないですけど、カップの中に入ってくれない」。松山のプレーを生で見るのは4月のマスターズ以来だったが、16日の練習日には驚かされた。担当として見てきた6年間、パットの素振りをしなかった男が、構えに入る前にカップと正対して数回素振り。そこから球の横に入って構えを作る新たなルーチンを取り入れていた。パット巧者の賞金女王・鈴木愛(24)の姿にも重なった。
今季は米ツアー14戦で4位が最高で、トップ10と予選落ちは2度ずつ。2月に左手を負傷して約1か月半、実戦を離れて以降、ショットが乱れて苦戦が続く。2週連続の予選落ちは14年4月以来2度目の屈辱で、年間総合王者を争うポイントランクは81位。4年連続で出場してきた9月のプレーオフシリーズ最終戦進出も決まっていない。
ただ、今はより高く飛ぶための“助走期間”に思える。前週は欧州ツアーのスコティッシュオープンに初出場し、異例の2連戦で全英に臨んだ。12年からコンビを組み、日米12勝を挙げた進藤大典キャディー(38)に代わり、杉沢伸章氏(43)と初タッグを組んだ。先を見据えて新たなことを試す旺盛な向上心とメジャー制覇への思いに変化はない。
これまでメジャーでは報道陣の前でピリピリ感を漂わせてきたが、今大会は明るく柔らかい表情が印象的だった。「今日は久々に、最後(18番)の第2打以外は良い感じでプレーできたので、それを今後の試合で生かしていけたら」。2年連続優勝争いを演じた全米プロ(8月9日開幕)での巻き返しを期待したい。
◆バンデベルデの悲劇 99年大会の最終日18番、3打リードで首位のバンデベルデはダブルボギーでもフランス人として92年ぶりの優勝だったが、第2打をブッシュ、第3打は川に。一度は靴を脱いで打とうとしたが諦めてドロップ。第5打も6オン1パットのトリプルボギーで、ポール・ローリー(英国)、ジャスティン・レナード(米国)とプレーオフ(PO)へ。4ホールのPOはローリーが制し、悲劇の主人公として有名になった。