◆報知新聞社主催 男子プロゴルフツアー今季最終戦 日本シリーズJTカップ第1日(29日、東京よみうりCC=7023ヤード、パー70)
小平がスーパーショットで大観衆を沸かせた。最終18番、3アイアンで放ったボールはピン手前1メートルに着弾すると、カップの右端をなめて左奥1・5メートルへ。「完璧な球だった」。18番では98年大会第3ラウンドのE・エレラ以来2人目のホールインワンこそ逃したが、下りの難しいバーディーパットを沈めた。
「18番では(出場)6年間で初めてのバーディー。すごくうれしいっすね」。同組の石川から「(パットが)入ってなかったらティーグラウンドまで行ってましたよ」とジョークを飛ばされるほど、強気に打った。18番のバーディーは市原と2人だけ。急傾斜グリーンの名物ホールを攻略してスタートダッシュに成功した。
4月のRBCヘリテージで日本人5人目の米ツアー優勝を果たし、その資格で本格参戦。夢だった米国と日本のレベル差は歴然だった。日本で優勝争いができる内容でも30~40位程度。「アメリカでこれぐらいの(コース)セッティングなら、8~9アンダーを出す選手がいると思う」。規格外の選手と戦ううち、自然と心に余裕ができていた。
松山英樹や石川遼のように拠点を設けず、ホテル暮らしで転戦した。チャーター機を使うトップ選手とは違い一般便を利用。荷物が届かないトラブルにもめげず、ホテルの自室で洗濯をするなど工夫して乗り切った。「みんな英語がしゃべれないけど何とかなるんですよ」と大溝雅教キャディー。このほど松山と同じ米フロリダ州オーランドに家を購入した。「これから荷物を増やせますね」と笑った。
昨年大会は21位。優勝した宮里優作に逆転で賞金王をさらわれた。16年大会は朴相賢に逆転され1打差2位。だから、初日の結果で一喜一憂はしない。「リラックスしてできた。明日もこういう感じで」。日本ツアー選手権、日本オープンに続くメジャー3冠を、自然体でたぐり寄せる。(岩崎 敦)
◆実家から車で30分
今大会には父・健一さんら「小平家」と、妻で08年賞金女王の古閑美保さん(36)や父・宏二郎さんら「古閑家」の合計十数人が観戦に訪れている。小平の実家はコースから車で約30分と近い東京・三鷹市のため、久々の“自宅通勤”。最終日にはさらに応援団が増える予定で、元レッスンプロの健一さんは「ショットが良かった。この調子でいってほしいですね」と期待を込めた。