渋野日向子、逆転Vで賞金2位浮上「攻めの気持ちを忘れずにやった」


優勝した渋野日向子(右)は、笑顔で母・伸子さん(左)と記念撮影に応じた

優勝した渋野日向子(右)は、笑顔で母・伸子さん(左)と記念撮影に応じた

 ◆女子プロゴルフツアー 資生堂アネッサレディス最終日(7日、神奈川・戸塚CC)

 2打差2位から出た渋野日向子(20)=RSK山陽放送=が通算12アンダーで並んだイ・ミニョン(27)=韓国=とのプレーオフ(PO)を制し、逆転で2勝目を飾った。18番で行われたPO1ホール目でダブルボギーのイに対し、渋野がパー。最終Rは4バーディー、3ボギーの71だった。日本勢8番手の世界ランク81位(7日時点)から来夏の東京五輪代表2枠入りも狙う。

 残り4ホールで首位とは4打差。「あきらめなかった」渋野に勝利の女神はほほ笑んだ。15番で15メートルを決め、ダブルボギーのイに1打差に迫った。17番で追いつき、アマ時代も1度しかなかったプロ初のPOを制し「攻めの気持ちを忘れずにやった」と声を弾ませた。

 5月のメジャー、ワールドレディスサロンパスカップの初優勝から56日目で2勝目。だが、その間「高いレベルを求めすぎて空回りした」と自分を見失った時期もあった。2週連続で40位台に終わった3大会前、青木翔コーチ(36)に「ゴルフが変わっちゃったのかな」と弱音をこぼした。

 「(球速)140キロしか投げられない子が試合で150キロを求めていた」と例えた同コーチ。チェスや将棋にも例え、「持ち駒(今ある技術)で勝負しろ」など、後になっても振り返ることができるようLINEで激励してくれた師匠の思いに応えた。

 1998年度生まれの黄金世代では畑岡奈紗、勝みなみに続く3人目の複数回Vを達成。新設大会の初代女王に輝き、賞金ランクは2位に浮上した。日本勢2番手の世界ランク22位・鈴木愛(25)までは差があるが、逆転での東京五輪代表入りへ「考えてなかったけど、チャンスがあればつかみたい」と力を込めた。

 岡山から駆けつけ、この日がレギュラーツアー初観戦となった母・伸子さん(51)は「ソフトボールの上野(由岐子)さんのイメージが強くて、五輪へ思いがある」と語った。元ソフトボールの投手でもあり、全国クラスの最速95キロを誇った渋野の目には、上野が力投した08年北京五輪金メダルの場面が焼きついている。

 1年前にはプロテスト受験を控えていた。それが、賞金ランクにより8月には海外メジャーの全英女子オープンに挑戦する権利を得て、翌年の出場権が得られる15位以内を目標にする。「スコアが出ない中で笑うのもつらかった」少し前の姿はもうない。「素直にゴルフを楽しむしかない」。“シンデレラガール”は豪快に笑った。(岩原 正幸)

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