◆女子プロゴルフツアー デサント東海クラシック 最終日(22日、愛知・新南愛知CC美浜C=6437ヤード、パー72)
首位と8打差20位からスタートした渋野日向子(20)=RSK山陽放送=が8バーディー、ボギーなしの64で回り、通算13アンダーで大逆転優勝を飾った。今季ツアー3勝目。海外メジャーのAIG全英女子オープン(8月1~4日)を合わせ、今季4勝目を挙げた。上田桃子(33)=かんぽ生命=、浜田茉優(24)=伊藤園=、韓国の申ジエ(31)=スリーボンド=、李知姫(40)=フリー=、台湾のテレサ・ルー(31)=太陽生命=の5人が2打差2位だった。
日本女子ツアー史上最大の最終日逆転優勝は2002年広済堂レディスで11打差を大逆転した藤野オリエ。1998年の東洋水産レディス北海道の大場美智恵と並び、渋野はツアー史上2番目の大逆転劇を成功させた。スタート前はV圏外だったが、ツアー自己ベスト(今年4月のKKT杯バンテリンレディス第2日の66)を2打も更新する64。まさに“シンデレラ・チャージ”だった。
「びっくりです。スタート前に8打も差があったので、まさか逆転できるとは思っていなかった。最高のプレーができました」とトレードマークの笑顔を満開にして話した。ただ、その後に、ツアーで最終日最大の逆転記録が11打差と知らされると「11打ってすごいですね。それに比べると、8打差ってちっぽけな感じですね」と“しぶこ節”で周囲を笑わせた。
渋野が単独首位でホールアウトした時点で、申ジエら実力者がそろう最終組は13番をプレー中。しかも、申ジエは1打差、テレサ・ルーは2打差と僅差だった。プレーオフに備えて最終組が15番を終わってからパットの練習を開始。「それまで、お菓子を食べていました」。優勝インタビューで“もぐもぐタイム”をとっていたことを明かし、ギャラリーを沸かせた。
天も渋野を味方。渋野がプレーを終えた直後に風雨が強まり、後続の選手のスコアが伸び悩んだ。ホールアウトから約1時間40分後、渋野の優勝が決定。「終わった~。良かった~。ホッとした~」と喜びを爆発させた。
渋野は昨年までツアー獲得賞金は0円。今季、全英女子オープンの優勝で約7200万円の賞金を手にしているが、日本ツアー獲得賞金は先週まで9203万4570円でランク2位。今大会の優勝賞金1440万円を加え、生涯&今季の獲得賞金は1億643万4570円となり、大台を突破した。24試合目での生涯獲得賞金1億円突破は、17試合目となる先週の日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯で達成した畑岡奈紗(20)=森ビル=に次いで日本人2番目のスピード記録。元世界ランク1位の“レジェンド”宮里藍(27試合)を超えた。「(大台に)乗りましたねえ~。(ツアー本格参戦)1年目で超えるなんて。この1年で自分でも予想していないことばかりが起きています。びっくりです」と素直な心境を明かした。
全英女子オープンを制して、一躍、時の人になった。注目度が大幅に増したことでプレーにも影響が出ていた。「楽しくプレーできないこともあったけど、今週は楽しくプレーできた。その週に勝てたことはうれしい」と率直に話す。
賞金ランク首位を走る申ジエを猛追。その差は1008万6762円。「1億円という目標を達成できた。次の目標は、皆さんも、そう思っているかもしれませんが、賞金女王です」。渋野は迷いなく話した。