◆日米共催 男子プロゴルフツアー ZOZOチャンピオンシップ第1日(24日・千葉・習志野CC)
日本初開催の米ツアーが開幕。13年ぶりに日本での試合となった通算81勝のタイガー・ウッズ(43)=米国=が9バーディー、3ボギーの6アンダー64で首位発進した。左膝手術(8月)の影響で開始3連続ボギーとなったが、全選手中最多の9バーディーを量産する猛チャージ。国内初日では最多となる1万8536人の大観衆を熱狂させた。松山英樹(27)=LEXUS=は7バーディー、2ボギーの5アンダー65で1打差の3位発進。
4月のマスターズでメジャー15勝目を挙げてから約半年後、ウッズが日本のファンを熱狂させた。「とてもにぎやかだった。彼らの前でプレーするのは本当に楽しい。日本は久々で、応援が待ち遠しかった」
大歓声に包まれた出だしの10番、5ウッドの第1打を左の池に落とした。3連続ボギー発進に表情が曇ったが、残り15ホールで真骨頂を見せた。14番から3連続バーディーを奪い、後半の4番で首位を走っていた松山に並んだ。7番で6メートルを決めて単独首位に立ちガッツポーズ。8月に左膝を手術しての復帰戦ながら、全選手中で最多の9バーディーを量産し、日本では完全優勝した04年ダンロップフェニックス以来、2度目の首位発進を決めた。
「悪い出だしから、ここまで伸ばせるとは思わなかった。アイアンの調子が良く、グリーンを積極的に攻めた。パットの感覚も良かったので思った以上にバーディーを取れた」。これまで腰で4度、膝は5度目となる手術を受けた。8月には左膝軟骨の状態が悪化したが「可動域が狭くなっていたが、今日はうまく回転し、しゃがんでラインを読むことができて良かった」と万全を強調した。
この日は平日ながら1万8536人が来場し、国内初日では10年中日クラウンズ1Rの1万3252人を大幅に塗り替えた(資料の残る94年以降)。最寄り駅ではバスを1時間半以上待つ行列ができ、会場では携帯電話の電波がつながりにくく慌てる人が続出。女子ツアーの“しぶこ・フィーバー”を超える“タイガー・パニック”が巻き起こった。
18日に4年ぶりに来日し、20日は都内3か所でイベントに出演。学生向けのレッスンでは故・父アール氏からの言葉を口にした。「どれだけ力んでも、バランスを崩さずフェースの真ん中に球を当てるんだ」。フェード、ドローの球質、高低を打ち分ける練習法を惜しげもなく伝えた。「ドライバーをコントロールする方法? 僕もまだ努力中だよ」。世界一になってもおごらず、常に笑顔で分刻みの予定をこなすプロの姿だった。
勝てば通算82勝目となり、サム・スニード(米国)が持つツアー最多勝に並ぶ。「これから天気が悪くなり、長い週末になるだろう」。残り54ホールへ、浮かれたムードは一切ない。完全復活を果たした絶対王者が、日本で歴史の扉をこじ開ける。(岩原 正幸)