2020年のGolfパラダイスのレッスンは、昨年のAIG全英女子オープンで日本人女子として樋口久子プロ以来42年ぶりとなるメジャー優勝を飾った「しぶこ」こと渋野日向子プロ(21)のコーチを務める青木翔プロ(36)が登場します。まずは、新春の第1回目として、しぶこの昨シーズンを振り返るとともに、今年にかける思いをインタビュー。コーチから見たしぶこを語ってもらった。(取材・構成=三木勝彦)
◆成長を感じたエリエールの優勝
-昨年は渋野日向子プロが日本人女子として樋口久子プロ以来42年ぶりとなるメジャー制覇をするなど大ブレイク。コーチから見た記憶に残った試合はどの試合だったでしょうか?
「全英女子はもちろんですが、大王製紙エリエールレディスオープンですね。全英女子のあと、デサントレディース東海クラシックで勝った直後に賞金女王を口にしたことで少し自分を見失っていたようです。伊藤園レディスで予選落ちしあとに、よく復活優勝できたと思います。エリエールは一緒に優勝したいと思っていたキャディーと勝てた。しぶこの成長を感じた試合でした」
-デサント以来、少し調子を落としたとも言われましたが。
「トップ10を外したりすると、メディアの人たちは調子が悪いなどと言いますが、しぶこはまだルーキーイヤーで20歳(当時)。コーチの立場から見ていて『そんなに調子が悪いわけでもないのに…』と何度も感じていました」
-最終戦まで賞金女王を争いましたが、あと一歩でした。
「デサントで優勝して賞金が1億円を突破した時点で、次の目標を賞金女王に定めたことが失敗でした。賞金女王は年間の成績の積み重ね。狙って獲れるものではないと。それが愛ちゃん(鈴木愛)との違い。愛ちゃんは7勝、しぶこは4勝。たまたま、しぶこは4日間競技の賞金が高い試合で勝てた。やはり勝ち数をみれば愛ちゃんが年間を通して賞金加算した結果、賞金女王になったと思います。だから僕は結果的にしぶこは昨年の賞金女王にならなくて良かったと思っています」
-それにしても昨年の大活躍。コーチとして渋野プロをどのように指導してきたか気になるところです。
「特別なことを指導したことはない。オフと全く同じです。アプローチはピッチ&ラン、上げるアプローチなど。とくに上げるアプローチは随分うまくなったと思います。そしてとにかくゴルフ用語を使わずに、わかりやすい言葉で伝えます。テイクバックやフォロースルーなどの横文字は不要。上げて下ろして振る。これで十分。これはアマチュアを指導するときも同じです。とくにアマチュアのみなさんは難しい言葉を聞いて、できたつもりになっている人も多いですよ(笑)」
◆1年通じリズムよくスイングできた
-昨シーズン一番成長した点はなんでしょうか?
「パッティングでしょうか。よく強気のパッティングとか言われていますが、一昨年まではパッティングが打ち切れていなかったので、とにかく『打て!』と言ってきました。昨年は勝負どころや苦しい状況でもしっかりと入れてきたのは立派だと思います。あと、1年を通じてリズム良くスイングできていたこと。これは引退するまで変えないでしょうね」
-最後に2020年の目標を教えてください。
「やはり東京五輪に出場。金メダルを獲ること。これにはワールドランキングが大切になってくる。これらを考えながら試合に臨みます。みなさん今年も応援宜しくお願い致します」。
<プロフィール>
青木翔(あおき・しょう) 1983年3月28日、福岡県生まれ。36歳。福岡大学卒業後にプロゴルファーを目指す。27歳の時にティーチングプロの資格を取得。2017年から渋野日向子のコーチとなる。2019年のAIG全英女子オープンでは渋野のキャディーを務める。181センチ、77キロ、A型。
【2019年度】渋野日向子全試合成績(国内) | |
トーナメント名 | 順位 |
ヨコハマタイヤゴルフトーナメント PRGRレディスカップ | 6T |
Tポイント×ENEOS ゴルフトーナメント | 予選落ち |
アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKI | 予選落ち |
ヤマハレディースオープン葛城 | 27T |
スタジオアリス女子オープン | 16T |
KKT杯バンテリンレディスオープン | 20T |
フジサンケイレディスクラシック | 2T |
パナソニックオープンレディースゴルフトーナメント | 13T |
ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ | 優勝 |
中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン | 36T |
リゾートトラスト レディス | 10T |
ヨネックスレディスゴルフトーナメント | 46T |
宮里藍 サントリーレディスオープンゴルフトーナメント | 45T |
ニチレイレディス | 7T |
アース・モンダミンカップ | 4 |
資生堂 アネッサ レディスオープン | 優勝 |
ニッポンハムレディスクラシック | 7 |
サマンサタバサ ガールズコレクション・レディーストーナメント | 35T |
北海道 meiji カップ | 13T |
NEC軽井沢72ゴルフトーナメント | 3T |
ニトリレディスゴルフトーナメント | 5 |
日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯 | 33T |
デサントレディース東海クラシック | 優勝 |
ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメント | 22T |
日本女子オープンゴルフ選手権 | 7 |
スタンレーレディスゴルフトーナメント | 6T |
NOBUTA GROUP マスターズGCレディース | 12T |
TOTOジャパンクラシック | 13T |
伊藤園レディスゴルフトーナメント | 予選落ち |
大王製紙エリエールレディスオープン | 優勝 |
LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ | 2T |