「若手台頭もある」「無観客影響ない」…3か月ぶり米ツアーを今田竜二氏が占う


 新型コロナウイルス感染拡大で3月中旬から中断していた米男子ゴルフツアーは、米国の主要プロスポーツ最速で11日(日本時間同日夜)開幕のチャールズシュワブ・チャレンジ(テキサス州コロニアルCC)で再開する。9日は世界ランク1位のロリー・マキロイ(英国)らが会場で調整。ランク上位5人を含む148人が無観客で争う。厳戒態勢で迎える再開初戦を、米ツアー通算1勝の今田竜二氏(43)がプロの視点で占う。(取材・構成=岩原 正幸)

 新型コロナ禍の米国で大リーグ、NBAなどに先駆け、主要プロスポーツ最速でゴルフが再開する。拠点とするフロリダ州の自宅でステイホーム生活を送っていた今田氏は状況を冷静に受け止める。

 「様々な競技が中断後、初のスポーツイベントになるので、どうなるのかなと米国内で注目されている。結果より、みんな心配しているのはコロナのこと。屋外で接触の少ないゴルフから始めて、様子を見るというのは無難な考えに思える」

 ツアーは選手、キャディーに検温、簡易検査などを義務づける。クラブハウスの入場も制限する。

 「選手だけならコントロールしやすいが、大会は多くの人が関わり難しい。(本当に安全か)やってみないと予測できない。ロッカー、レストラン、トイレ、どの経路から感染してしまうのか、分からないのが怖い」

 近年は選手層が厚い大会ではなかったが、約3か月ぶりの試合で好メンバーが集結。世界ランク1位のマキロイ、2位のラーム(スペイン)、3位のケプカ(米国)が予選同組となった。

 「試合勘を戻す意味でも、みんな早く試合に出たい。その中でも、ずっと試合を待っていた若手が上位に来るのでは、と期待している。無観客はスコアには影響しないと思う。試合になれば観客の有無ではなく、プライドを懸けた勝負になる」

 選手の中断期間の過ごし方が結果を左右するとみている。

 「トップの選手は、自宅にコースやジムがある。ずっと練習をしようと思えばできたはず。一方、自分が罹(かか)って家族にうつしてしまう場合を考慮して、練習を控えた人もいると思う」

 スポーツ好きの米国人は開催の是非をどう判断するだろうか。

 「再開に関して意見はまだ分かれるのでは。正しいのか、早すぎるのか、やってみないと分からない。もし誰かが感染してしまったらという心配もある。選手はもちろんプレーに集中しますが、ゴルフだけとはいかない、通常とは違った試合になる」

 ◆今田 竜二(いまだ・りゅうじ)1976年10月19日、広島県生まれ。43歳。91年に14歳で渡米。ジョージア大進学後はウッズに次ぐ全米アマランク2位になった。99年にプロ転向。2005年からPGAツアー本格参戦。08年AT&Tクラシックで青木功、丸山茂樹に続く日本勢3人目の米ツアー優勝。同年、W杯日本代表で3位。16年国内ツアーを最後に試合出場  はない。

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