
6年ぶりに3勝目を挙げ、優勝インタビューで涙ぐむ柏原明日架(カメラ・今西 淳)
◇女子プロゴルフツアー NEC軽井沢72 最終日(17日、長野・軽井沢72G北C=6625ヤード、パー72)
首位で出た柏原明日架(29)=富士通=が4バーディー、ボギーなしの68で回り、通算14アンダーでルーキーの寺岡沙弥香(22)=フリー=を1打振り切り、涙の復活優勝を果たした。優勝直後の会見で離婚していたことを告白。シード落ち、私的スキャンダルもあった数年を経て、2019年マスターズGCレディース以来6年ぶりとなるツアー通算3勝目を挙げた。
クールにウィニングパットを沈めた柏原の瞳が、途端に潤んだ。父でコーチの武道さん(49)と抱き合うと、6年ぶりの優勝を親子でかみしめた。「父が来てくれて初めて目の前で優勝を見せられた」と涙。「長かった。コロナがあったり、無観客があったり、自分自身もいろいろあった。この場にもう一度立つことができたのは応援してくれた方々のおかげ」と感謝した。
8番のチップインバーディーで流れをつかむと、9、10、14番で3メートルのパーパットをねじ込み食らいついた。そんな姿を武道さんは「いつものこと」と驚くことなく見守った。ジュニア時代に教え込んだのは「9割がショートゲーム」。15、16番で5メートルを沈める連続バーディーで抜け出すと、ボギーなしで後続を振り切った。
22年にポイントランク79位でシードを喪失。「もうはい上がっていけないんじゃないか」と思い悩んだ。ゴルフを始めて以降コーチは父一人だったが、22年から森守洋氏(48)に師事した。技術面はもちろん「楽観的」(柏原)な森氏がメンタル面でもサポート。昨年は同ランク44位で3季ぶりにシードに返り咲き「この6年誰一人欠けてもこの優勝はなかった」と言った。
優勝直後の会見で、昨年2月に結婚した一般男性と今年に入って離婚していたことを明かした。結婚後に過去の不倫問題が報じられたことなどが原因だった。「まばたきしている間に終わりました」と振り返り、「たくさんの方に心配や迷惑をかけた。ゴルフを続けていってもいいのかなと思う時間もあった」と声を震わせた。
「考えを改めるきっかけだった。前を向くしかないと思って頑張ってきた。私一人だけの優勝じゃないと、今この年になって心から思う」。次なるターゲットは10月の富士通レディースだ。「ずっとお世話になっている富士通さんの大会で優勝したい」。支え続けてくれた所属先に、恩返しの勝利を届ける。(高木 恵)
◆柏原 明日架(かしわばら・あすか)1996年1月30日、宮崎市生まれ。29歳。7歳から父・武道さん(49)の影響でゴルフを始め、2010年に全国中学選手権で優勝、日本女子アマ2位。12年に16歳以下の男女混合ジュニア選手権で優勝。宮崎・日章学園高を卒業後、14年7月にプロテストに合格。19年ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンでツアー初優勝、同年のマスターズGCレディースで2勝目。趣味は写真。171センチ、63キロ。