ワトニーがコロナ陽性で棄権…初感染者も米ツアー続行


 ◆米男子プロゴルフツアー RBCヘリテージ第2日(19日・米サウスカロライナ州ハーバータウンGL)

 米男子ゴルフツアーは19日(日本時間20日)、初日を134位で終えたツアー通算5勝のニック・ワトニー(39)=米国=が、新型コロナウイルスの検査で陽性反応を示し、第2ラウンド(R)スタート前に棄権したと発表した。再開2戦目の同ツアーで感染者は初。選手からは不安の声も上がった。唯一の日本勢で、134位から出た松山英樹(28)=LEXUS=は70で通算2オーバー131位となり、今季2度目の予選落ち。ウェブ・シンプソン(34)=米国=が連日の65で通算12アンダーの単独首位。競技は続行され、20日午前8時(日本時間同午後9時)過ぎに第3Rが始まった。

 ツアー再開2戦目にして初の新型コロナ感染者が出たことが公表されると、現地時間19日午後の試合会場は緊張感と異様な空気に包まれた。大会前のPCR検査では選手、キャディーを含め全関係者369人が陰性。ワトニーは19日朝に体調が悪化したため、再度の検査を受け、陽性となった。第2Rスタート前に棄権し、義務づけられた通り、最短でも10日間の自主隔離に入った。

 前日の第1Rをワトニーと同組で回ったボーン・テーラーとルーク・リスト(ともに米国)とキャディーは第2R終了後、再検査を受け、異常はなかった。だが、テーラーは「正直に言うと、ショックだった。第2Rスタート前は少しナーバスにもなったし、プレーするのが難しかった」と、不安な心境を明かした。

 世界ランク1位のロリー・マキロイ(英国)は、検査結果が出る前に練習場でワトニーと会話をした。また同4位のブルックス・ケプカ(米国)は「駐車場で会った。隣に車を止めた」といい、「(感染が)広がったら大きな問題」と警戒した。第1R同組のリストも「雪だるま式に感染者が増えないことを祈りたい」と話した。

 コースがある米サウスカロライナ州では経済活動が再開し、レストランも営業しているが、マスク非着用の人も多い。ツアーは外食の自粛を求めているものの、守られているかどうかは不明だ。「1人でも陽性が出たら中止すべき」という意見を持つ松山英樹も、現地の様子を「思ったより(警戒が)緩い。ホテルでもみんな普通にしているので違和感がある」と証言した。

 会場は検査結果の陰性を示す黄色のリボンがなければ、クラブハウスに入れないなど対策が施されている。ただ、世界ランク11位のトミー・フリートウッド(英国)らのように、ツアー再開後、2戦連続で出場を辞退した選手もいる。

 中断前の3月に行われたプレーヤーズ選手権は、感染拡大により、異例の初日終了後の大会中止が決定した。今大会は感染者公表の段階で中止はされず続行されたが、コロナ禍が深刻な米国を転戦するツアーでは、今後も再中断の不安がつきまとう。

 ◆米男子ツアーが導入した主な新型コロナ感染対策

 ▼選手とキャディーには開催地への移動前から大会が終わるまで問診票、鼻腔(びくう)検査が義務づけられる。

 ▼検査で陽性反応が出た場合、ただちに指定場所で隔離される。

 ▼感染リスク軽減のため、クラブハウス内への選手の家族の立ち入りは禁止。

 ▼コーチ、通訳は打撃練習場と練習エリアは立ち入り可能。ただし、選手とは常に6フィート(183センチ)以上の距離を保つこと。

 ▼選手とキャディーはハイタッチやグータッチ、握手などの接触行動は禁止。クラブはなるべく選手がバッグから抜き差しする。

 ▼コース内のピンやバンカーレーキなどの備品はプレー前に除菌される。各ホールのティーやグリーンには手の消毒ステーションを設置する。

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