あなたのゴルフが変わるかも 元賞金女王キャディー清水重憲氏らがアマチュアにマネジメント講習


スタート前、アマチュアゴルファーにあいさつする清水キャディー

スタート前、アマチュアゴルファーにあいさつする清水キャディー

 国内女子ゴルフツアーの初戦が3月に迫る中、試合に帯同するプロキャディーがオフの期間に新たな取り組みを始めている。アマチュアゴルファー向けの「プロキャディーによるコースマネジメント講習」があると知り、今月上旬に千葉・浜野GCに取材に訪れた。

 今回密着したのが、2015、16年にイ・ボミ(韓国)を賞金女王に導いたキャディー通算38勝(非公式記録で歴代最多)の清水重憲キャディー(46)だ。一般社団法人日本プロキャディー協会の副代表理事も務める清水氏が、一般ゴルファーの組につきコースマネジメント戦略を教えるというもの。

 この取り組みは、コロナ禍でツアーの中止が相次いだ昨年の春頃に始まった。「僕らプロキャディーって、意外とアマチュアの方からも需要があるんだなって」。今年に入ってからは既に「6、7ラウンド目」となる。「このコースでクラチャン(クラブチャンピオン)を取りたい」「スコア100を切りたい」「“記念に”プロキャディーに担いでほしい」といった一般アマからの声が届くという。

 早速始まったこの日のマネジメント講習は晴天の下でスタートした。アマチュア4人の組にコースキャディー1人と清水氏がつき、「ナイスショット!」の声が響く中、狙い所やコースの特徴などを解説しながら回っていく。

 「スイング指導はレッスンプロの仕事なので、僕らが伝えるのはマネジメントですね」。4人それぞれのプレーをそばで見ながら、「このホールは左に木があるから右狙いで。バンカーに入れても大丈夫です」「ここはフック(スライス)ライン」など動き回ってアドバイスを送っていた。

 清水氏は「プロと違ってアマチュアの方は前へ前へ行きたがる傾向があります。パー5だったらドライバーの後にウッドを握るのではなく、アイアンで得意の距離を残したり、確率の高い攻め方をしていきましょうということ」と説明する。ツアーで“優勝請負人”と言われるトップキャディーが目の前で見ていることで緊張してしまうアマチュアもいるというが「次に回った時や、それ以降にベストスコアが出ましたと言ってくださる方も多いですよ」と笑顔で語った。

 ラウンド中にはアマチュアから「出だしがボギーかダボだった時のプロの心境は?」と質問が飛び、選手のメンタル面を丁寧に解説する場面も。クラブ選択やグリーンの読み、風の対処法だけでなく、トーナメントの裏話なども聞くことができる貴重な時間となることは間違いない。

 「いろんな話をしながら、楽しく、気持ち良く回ってもらえたら、僕たちもうれしい」と清水氏。参加者は「時間があっという間に過ぎた」「普段なら気づかないようなことを教えてもらい、勉強になった」と感想を口にした。

 日本プロキャディー協会の森本真祐代表理事(ツアー通算33勝)は「アマチュアの方からは『今までこういうことは考えたことがなかった』といった感想をいただいています。ピンを無理に狙わずに傾斜などを考えて、一見遠回りな攻め方かもしれないけど、こっちから狙いましょうとか。打ち下ろしや打ち上げの状況での目線について、お伝えすることもあります。ちょっと行き詰まっている感のある方にもお役に立てると思います」と話した。この試みはオフの期間やツアーの合間などで、今後も続けていきたいという。きっとゴルフに対する考えが変わるはずだ。(岩原 正幸)

◆プロキャディーによるコースマネジメント講習の案内 日本プロキャディー協会(2019年10月設立)が窓口となっている。費用は森本氏、清水氏の場合で1組6万円(税別、その他自身のプレー代など)。2人以外のキャディー紹介もでき、場所などは要相談となる。詳細は同協会のホームページを参照。申込みや問合せは入力フォームへ。

https://procaddy.or.jp

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