◆女子プロゴルフツアー 宮里藍サントリーレディス 第1日(10日、兵庫・六甲国際GC=6517ヤード、パー72)
今年5勝の稲見萌寧(21)=都築電気=が6バーディー、ボギーなしの66で回り、首位と2打差の6アンダーで2位発進した。東京五輪代表は28日付の世界ランクで決まり、10位の畑岡奈紗(アビームコンサルティング)が確実。同26位で2番手に付ける稲見は、今大会で優勝すれば代表入りに前進する。同28位で3番手の古江彩佳(21)=富士通=は1アンダーで39位と出遅れた。首位は8アンダーの比嘉真美子(27)=TOYO TIRE=。
リフレッシュした稲見が、初日からスピードに乗った。正午時点で風速4・7メートル。より風が強くなる午後スタートで前半はドライバーが少し荒れたが、後半は軌道修正した。「フェアウェーからしっかり打って、パターも良くなった」。パー3の16番ではピン右奥に落とし、7メートルのバーディーパットを決めた。風も味方に付け、「助けてくれたので良かったです」と表情を緩ませた。
先々週のリゾートトラストレディスで起伏のあるコースに合わせてプレーしたため「(動きが)崩れちゃったのかな」とフォームが乱れた。先週のヨネックスレディスを欠場し、トレーニングを積む間も「怖くて打てなくなるくらい。右に左に、OBも。本格的に『やばい!』とコーチに言っていました」と、苦笑するほどだった。それでも今年5勝の実力は折り紙付き。前日までの2日間の公式練習できちんと修正してきた。ツアー通算38勝の経験豊富な清水重憲キャディー(46)とのコンビも“追い風”になり「楽しくできた」と、うなずいた。
今大会で稲見が優勝すれば、東京五輪代表の残り1枠を懸けて争う古江や、米ツアー参戦中の渋野日向子(サントリー)らを突き放し、圧倒的に有利となる。代表は世界ランクをもとに決まり、算定には細かいポイントが関係するため「どこを比べて見たらいいか分からない。誰かに言われて気付くとか。教えてもらって分かる」と、どこ吹く風。本人はオリンピックを「ゴールではない」と位置づけ、あくまでも無欲だった。
優勝した3週前の中京テレビ・ブリヂストンレディスは初日から11アンダーで首位。先々週のリゾートトラストレディスも初日を首位と1打差の2位で終えている。「ここ最近は危機感のあるスコアではないですね。あと3日あるので、上位で戦えたらいいな」。スタートダッシュを決めた稲見は、この試合も貪欲に攻める。(菅原 美沙)
◆東京五輪代表2番手争い
▼決定方法と状況 28日時点の世界ランクで決定。現状上位2枠に出場権が与えられ、10位の畑岡は当確。26位に稲見、28位に古江、32位に渋野が続き、3人で1枠を争う。
▼世界ランク 2006年から導入。過去2年、104週(20年3~6月はコロナ禍で凍結のため例外あり)の試合で得た合計ポイントを試合数で割って算出する。海外メジャーは優勝100ポイント。日本ツアーは20ポイント前後が与えられる。
▼稲見が今週優勝の場合 19ポイント(確定)を加え、次週以降に予選落ちしても平均ポイントは「3.58ポイント」となる。これを上回るには、今週含め国内3戦に出場の古江が優勝1回&2位を1回以上、米で残り1戦の渋野は24日開幕のメジャー、全米女子プロで3位以上が必要。