若林舞衣子、ツアー史上6人目ママV 亡くなった母に「天国で喜んでくれたら」


結婚、出産後初優勝を果たした若林舞衣子(右)は、記念撮影で長男・龍之介くん(中)の笑顔を愛おしそうに見つめた(左は姉の香織さん)

結婚、出産後初優勝を果たした若林舞衣子(右)は、記念撮影で長男・龍之介くん(中)の笑顔を愛おしそうに見つめた(左は姉の香織さん)

 若林舞衣子(33)=ヨネックス=が野沢真央(24)=愛知製鋼=とのプレーオフ(PO)2ホール目でバーディーを奪い、4年ぶりの通算4勝目を挙げた。1差2位で出ると5バーディー、2ボギーの69で通算15アンダー。85ホール連続ボギーなしのツアー新記録も樹立した。2歳の長男、夫らが見守る前で、6月に他界した母にささげる、ツアー史上6人目の出産後初優勝となった。東京五輪代表の稲見萌寧(21)=都築電気=は4位。

 PO2ホール目、若林は2メートルのバーディーを決めると右拳を高く上げた。夫の佳和さん、長男・龍之介くん(2)、父、姉が見守った。1988年のツアー制施行後6人目のママさんVを達成し「家族のサポートがなければここに立てていない。感謝の気持ちです」と歓喜に浸った。

 4番で野沢に首位を譲ったが、6番で第2打をベタピンにつける、あと一歩でイーグルのスーパーショットで逆転。13番のバーディーで、前週からの連続ボギーなしを85ホールに伸ばし、申ジエの記録を4ホール更新しツアー新記録(詳細が残る90年以降)を樹立した。

 18番ボギーでツアー史上9度目となる2週連続のPOとなったが「今週は絶対に負けたくなかった。同じような悔しい思いはしたくない」と言い聞かせた。優勝後は「張り詰めていた気持ちがはじけた」と、愛息を抱きママの顔になった。

 出産を経て昨年6月に復帰した。「若い世代の選手も結婚、出産で悩むと思う。私や(横峯)さくらさんが頑張ることで出産してもしっかり戦えると思ってもらえたら。復帰するだけでなく、結果を残したかった」と胸を張った。出産前との違いを「今晩の献立を考える生活」と表現した。

 6月27日に母・久美子さん(享年72)を病気で亡くした。「生きているうちに(優勝を)見せたかったけど、天国で喜んでくれたら。忘れられない一日になった」と目に涙をためて語った。「まずは1勝できたので、また優勝できるように」。家族の思いを背負い、ベテランが次なる目標を見つめた。(岩原 正幸)

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