男子ゴルフの石川遼(30)=カシオ=が24日、高知・Kochi黒潮CCで記者会見を行い、米国から帰国後の新型コロナウイルス対策の自主隔離中に不適切な行動があったことについて「一国民として認識が甘かった」などと時折、涙を流しながら謝罪した。22年も日本ツアーを主戦場とする考えは表明したが、復帰時期については未定とした。同コースでは25日から4日間、カシオワールドオープンが開催されるが、1か月間の出場停止処分を科された石川は出場しない。
髪の色を茶から黒に戻し、上下黒のスーツ、紺のネクタイを締めた石川は言葉を詰まらせ、涙をこぼした。「本来は自分一人としての責任が、選手会としてどうするかという形に発展してしまって。選手会長にそういった思いをさせてしまって…。一番申し訳ない」。自身の後継で会長を務める時松隆光(28)への心苦しさがこみあげた。「本当に自分はバカだなと思います」。自らへの怒りと後悔の涙だった。
会見の冒頭では立ったままマイクを持ち、謝罪した。「帰国後の自主隔離期間14日間に取った行動において、コロナ感染対策にご尽力をいただいている皆様を始め、いつも応援してくださっている皆様、JGTOの皆様、選手会の皆様に多大なご迷惑をおかけしたことを心よりおわび申し上げます。申し訳ございませんでした」と深々と頭を下げた。
今月上旬に一部報道で、自主隔離期間にゴルフ場で複数人でのラウンドや会食をしたことなどが発覚した。約2週間がたってから初めて公の場で口を開いたことには「時間がたつにつれて自分の口から直接、おわび、説明することが必要なのではないかという気持ちが強くなり、私の方から(所属先の)カシオ計算機の方にご相談させていただき、この場を設けさせていただきました」と説明した。
心労も見受けられた。45分にわたる会見中には、せき込む場面もあった。「一週間以上止まらなくて。風邪気味なのかな。せきがちで練習は一回もしていない。ずっと家にいていろんな方に連絡をしたり、おわびをしたり」と近況を明かした。
失った信頼は大きく、「一人の国民としての認識が甘かった」と猛省した。年内の残り2試合は出場停止のため出ない。来年の復帰時期などについては「全く決まっていない。自分がズルをした結果をしっかり受け止めて反省している。一番はゴルフでお見せするしかないと思う。また自分が頑張れるチャンスを頂けたら」と話すにとどめた。
◆遼に聞く
―他の選手たちへの謝罪は?
「直接は誰にもお会いはしていません。この会見を今日行うことも、選手の方には伝えていないです。本当に謝らなければいけない人がたくさんいる中で、自分の気持ちの整理がつかずに、このタイミングまでご迷惑をおかけしてしまっている」
―JGTO副会長や選手会副会長を辞任。ツアーの看板選手としての責任は?
「世界中に、この2年間でも海外を飛び回っている選手もいる。しっかりとルールを守って自主隔離を行っている選手がいる中で、自分のこの行動というのは、他の選手に対しても大変申し訳ないなという気持ちでもいます」
―感染症関連の医療従事者に対してへの思いは?
「感染症対策にご尽力をいただいている皆さんに対して一番、本当に申し訳ない行動をとった。自分がいかに重く受け止めて今後、行動するかだと思っています」
JGTO青木功会長(23日に石川と面会し、謝罪を受けた)「自分の口から話をしたい、と言ってくれたのは良かったと思う。選手会とJGTOとコンプライアンスを強化して、ゴルフ界を来年からもっと盛り上げていきたい」