東北福祉大1年の橋本美月(19)が、ゴルフの聖地で男子のメジャー・マスターズが開催されるオーガスタナショナルGC(米国)でのプレーを目指す。昨年11月のアジア太平洋女子アマ選手権(UAE)で優勝し、30日(日本時間同日深夜)開幕のオーガスタナショナル女子アマ選手権の出場権を獲得。予選ラウンドで30位以内に入れば、オーガスタでの決勝ラウンド(4月2日)に進出する。このほどスポーツ報知の取材に応じ、意気込みを語った。(取材・構成=岩崎敦)
世界中のゴルファーが憧れるオーガスタナショナルGCでのプレーが、もう少しで手の届くところにある。決戦を目前に控えた橋本は、ほどよい期待感と緊張感に包まれていた。
「なかなかプレーできる場所じゃない。(昨年のマスターズで)松山英樹さんが優勝された場面はテレビで見ていました。本当に憧れの舞台だと思います」
ゴルフは中学生のころから本格的に取り組み、自然とプロが目標になった。高校卒業後は親元を離れ、松山のほか谷原秀人、池田勇太、佐伯三貴ら多くのトッププロを輩出した東北福祉大への進学を決めた。
「練習を見学させていただき、環境の良さで進学を決めました」
普段は午前中にショートゲームを約2時間、午後はショット練習やハーフラウンドを行う。授業はオンラインが中心のため、空いた時間に録画受講。15日までは茨城でゴルフ部の合宿に参加するなど、多忙な日々が続く。
「全然遊んでなくて、まだ街は仙台駅のあたりしか行ってないんです。部屋にキッチンがあるから3食自炊。甘くない卵焼きが好きですね」
目標の選手は宮里藍さん。宮城・東北高在学中に日本ツアーで優勝し通算14勝、米ツアーでは9勝をマーク。世界ランク1位になったこともあるスーパースターだ。
「高校2年の9月に、藍さんが主催するジュニアの試合に出させてもらいました。コースマネジメントやメンタルトレーニングなど、いろんな話を聞かせてもらい、すごいなと。人柄も含めて『スターって、こういう人なんだな』と思いました」
オーガスタナショナル女子アマ選手権の出場権を得たことで、東北福祉大の大先輩・松山ともつながりができた。
「アメリカにいる知り合いの方を通じて『頑張って』という動画をいただきました。本当にうれしかったですね。(松山の恩師である東北福祉大の)阿部監督からは『オーガスタのコースはテレビで見る以上に起伏がある』と教えてもらいました」
近郊のコースで開催される予選ラウンドで30位以内に入れば、日本女子では安田祐香、笹生優花、梶谷翼、上野菜々子に続く5人目となるオーガスタでのプレーがかなう。決勝5日後の4月7日にはマスターズが開幕するだけに、ディフェンディングチャンピオンとして臨む松山が観戦に訪れる可能性もある。
「とにかく楽しくプレーしたい。予選通過を目指して、やれることだけをやりたいです。英語も全然できなくて不安だらけだけど、勢いで!」
キレのあるアイアンショットを武器に高いパーオン率を誇るスタイルは、どことなく松山に重なる。東北の地から世界へ羽ばたいたレジェンドに続く戦いが、もうすぐ始まる。
◆橋本美月(はしもと・みづき)2002年9月15日、兵庫県生まれ。19歳。9歳でゴルフを始める。兵庫・滝川二高時代の19年、ジュニアオレンジボウル選手権(米フロリダ州)で福嶋晃子、宮里優作に続く日本人3人目の優勝。同年の全国高校選手権2位。東北福祉大に進み21年関西女子アマ選手権優勝、日本女子学生選手権2位。ドライバーの飛距離は250ヤード。趣味は釣り。家族は両親、祖父母、兄。158センチ。
◆オーガスタナショナル女子アマ選手権 オーガスタナショナルGCは1932年の開場以降、会員を男性に限定していたが、批判を受け2012年に女性会員が誕生。女子ゴルフの発展などを目指し今大会を19年に創設した。近隣のチャンピオンズリトリートGCで予選(30、31日)36ホールを行い、上位30人での決勝(4月2日)18ホールをオーガスタナショナルGCで開催。19年大会は安田祐香と笹生優花が3位。21年大会で梶谷翼が優勝した。