19年覇者・渋野日向子「風と友達に」3年ぶりVへ苦手リンクス攻略だ…全英女子OP4日開幕


特別な思いを込めて全英女子に挑む渋野日向子

特別な思いを込めて全英女子に挑む渋野日向子

 米女子プロゴルフツアーの今季メジャー最終戦、AIG全英女子オープンが4日から4日間、英北部のミュアフィールド(6649ヤード、パー71)で行われる。2019年大会でメジャー初出場&初制覇を遂げた渋野日向子(23)=サントリー=が3日、公式会見に臨み、特別な大会へ「初心」と「成長」を胸に挑む。日本勢はツアー通算6勝の畑岡奈紗(23)=アビームコンサルティング=ら過去最多12人が出場する。

 19年大会で日本女子42年ぶりにメジャーを制した渋野が、特別な思いで3年ぶり大会制覇へ挑む。3日の会見で当時の快挙を振り返りつつ、「やっぱり他の試合とは違う感情はある。あの頃の初心に戻って楽しみたい気持ちもあるし、いろいろやってきたことを発揮したい思いもある」と意欲を示した。

 20歳だった19年大会は、海外メジャー初挑戦で初制覇。「スマイル・シンデレラ」となって世界を沸かせた。ただ、本人は「子供だったなと思う。やっていたことが幼稚。楽しんでいたし、お菓子食べ過ぎだし、カメラに向かって食べるし、あんなんありえん。恥ずかしいわ」と苦笑い。それでも「何も知らなかったのが良かった」と思い返し、「経験」だけでなく「初心」を忘れず、戦うことも必要だと実感した。

 昨年末に翌年度の米女子ツアー出場権を懸けた予選会を突破。メジャー覇者でありながら、ツアーの新人として今季に臨む。4月のメジャー、シェブロン選手権4位などで来季シード権には前進した。だが、その後は再現性を高めるために改造中のトップを浅くしたスイングが安定せず、6戦で予選落ちと苦しんだ。6月の全米女子プロは体調不良で途中棄権し、7月のエビアン選手権も決勝ラウンドに進めなかった。「やっていることが分からない」と、こぼしたこともあった。

 全英は林間コースでの19年を制するも、海沿いのリンクスでは20年予選落ち、昨年34位と攻略できていない。“三度目の正直”に燃える。7月31日から練習ラウンドし、3日はプロアマ戦で調整。リンクス特有の強風に加え、約1メートルのブッシュ、ポットバンカーが潜む難コースに、「むーずーかしいー」と悲鳴を上げつつも、「自分との戦いでもあるし、風との戦いでもある。風と友達になることが一番重要」と準備は万端だ。

 名門コースで女子メジャーが初開催される歴史的な今大会。男女を通じて日本人初のメジャー2勝目に注目が集まる。23歳になった渋野が、新たな姿で再び歴史を作る。

 ◆日本勢のメジャー優勝 1977年の全米女子プロで樋口久子、2019年のAIG全英女子オープンで渋野、21年の全米女子オープンで笹生優花が1勝ずつを挙げている。男子では松山英樹が21年のマスターズで初優勝をつかんだが、メジャー2勝目は、まだ誰も手が届いていない。

 ◆ミュアフィールド 英北部で1891年に創設された世界屈指の名門コースだが、長らく女性メンバーを認めず、2017年に投票により、ようやく受け入れた。女子のメジャー大会は初開催となる。男子のメジャー、全英オープンは1892年から16回開催され、02年大会で丸山茂樹が5位、13年大会で全英初出場の松山英樹が6位に入った。アウトで時計回りに1周し、インはその中を反時計回りに回るため、「18種類の風が吹く」と言われる。フェアウェー両サイドに約1メートルのブッシュが密生し、深いポットバンカーも要注意だ。

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