◆男子プロゴルフツアー Sansan・KBCオーガスタ 第2日(26日、福岡・芥屋GC=7191ヤード、パー72)
地元・福岡県出身の長野泰雅(たいが、19)=福岡地行=が、自身初の首位に立ち、決勝ラウンド進出を決めた。5月にデビューしたルーキーは持ち前の飛距離を生かして6バーディー、1ボギーの67。通算11アンダーで同じく新人の飛ばし屋・河本力(22)=フリー=らとともに4人の首位に並んだ。1973年のツアー制施行後4人目となる10代優勝とツアー初の21世紀生まれV、“和製タイガー”として日本ツアー制覇一番乗りにも挑む。
“福岡の虎”が玄界灘からの潮風に乗って、リーダーボードの頂上へと躍進した。長野は地元の声援の中、19歳とは思えぬ冷静なマネジメントが光った。「昨日と同じで、守りながらロング(パー5)とか取れるところは取って、という感じでしたね」と日焼けした顔をほころばせた。
本家のタイガーばりに、パー5での豪快な攻めを貫き、首位に立った。鍛え抜かれた下半身からいずれも得意のドライバーをかっ飛ばし、13番はグリーン奥からの3打目を寄せてバーディー。18番は2オンして伸ばして首位に並んだ。6番はグリーン手前からの3打目を寄せて伸ばし、9番は2オンして2パットでバーディー締め。今季平均飛距離304・75ヤードで2日間でパー5で1イーグル、7バーディーと9つスコアを伸ばした。「ドライバーの調子が良い」と胸を張る。
同級生の相棒も快進撃を支えている。今週、沖学園高ゴルフ部の同級生・伊藤健心さん(19)をキャディーに初起用。「(芽が強くて独特な切れ方をする)高麗グリーンの読みが的確で、スコアが良いのはキャディーのおかげ」と感謝する。芥屋GCは、高校時代に自身もキャディーをしていたコースで普段も練習に訪れており、熟知している。
地元で強い。レギュラーツアー2戦目となった6月のASO飯塚チャレンジドで自己最高の6位に入り、注目を集めた。今季出場権をかけた昨年の3次予選会で敗退し、今季主戦場は下部のABEMAツアーだ。今大会も主催者推薦での出場で、勝つと過去20年で最大の“下克上劇”となる。ツアー5戦目の19歳は「あわよくば一発でシードを取りたい」と大きな野望を抱く。石川遼、松山英樹、黄重坤(韓国)に続く4人目の10代優勝で、「史上初の21世紀生まれ王者」としてツアーの歴史にその名を刻む。(榎本 友一)
◆長野 泰雅(ながの・たいが)2003年5月6日、福岡・糟屋郡篠栗町生まれ。19歳。16年九州シニア選手権覇者の父・清一さんの影響で9歳でゴルフを始め、沖学園高では19年の国体で個人、団体戦優勝。21年九州ジュニア選手権優勝。3月のツアー外競技「東急大分オープン」でプロ初優勝。5月のゴルフパートナープロアマで、レギュラーツアーにデビューして48位。A型。家族は両親と姉。170センチ、75キロ。
◆国内男子ツアーの「タイガ」 日本ゴルフツアー機構によると、米ツアー歴代最多82勝のタイガー・ウッズ(46)=米国=を除き「タイガ」のツアー登録者は18人いるという。昨年6月の日本ツアー選手権森ビル杯3位の杉原大河(22)=フリー=、4月の関西オープンで優勝争いを演じたアマチュアの蝉川泰果(21)=東北福祉大4年=らが有名でともにウッズが名前の由来。