藤田さいき涙の11年35日ブランクV がん手術乗り越え「長かった」夫の支えに感謝


優勝杯を手にする藤田さいき(カメラ・谷口 健二)

優勝杯を手にする藤田さいき(カメラ・谷口 健二)

◆女子プロゴルフツアー 大王製紙エリエールレディス 最終日(20日、愛媛・エリエールGC=6575ヤード、パー71)

 1打差2位で出た藤田さいき(36)=チェリーゴルフ=は67をマークし、通算21アンダーで涙の逆転優勝を飾った。4バーディー、ボギーなしで回り、72ホールのツアー最少ストローク(パー71)を4打更新。11年10月以来11年35日ぶりの優勝は、88年のツアー制施行後、金田久美子に続く歴代2番目ののブランクVとなった。双子の新人・岩井明愛、妹の千怜(ともに20)=ともにホンダ=はツアー史上初の姉妹で同一年度の同時シード権を手にした。

 藤田は1・2メートルのウィニングパットを決めると、しゃがみ込んだ。「とっても長かった11年。一言では表せないけど、素直にうれしい」。両手で顔を覆い、涙を流した。6月の宮里藍サントリーレディスなど、今季は3度の2位。36歳は「楽しむ」と新たな気持ちで挑んだ。1差を追った鈴木愛との一騎打ち。13番で5メートルのバーディーパットを沈めて単独首位に立ち、競り勝った。

 11年10月の富士通レディースで通算5勝目を飾った後、自身の誕生日の同年11月22日に夫・和晃さん(37)と結婚。仕事を辞め、全試合に同行して支えてくれた。14年に子宮頸がんの手術。18、19年にはシード落ちも経験した。「結婚してダメになった」と厳しい言葉も飛んだ。それでも、黒岩祐次トレーナーに体のケアの方法を学ぶなど、和晃さんは献身的なサポートを続け、「昨日は寝たし、体もほどよい硬さ」と明かす。藤田もようやく結婚後初Vを贈り「(夫には)感謝の気持ちしかない」とも語った。

 先月末には金田が11年189日の最長ブランク優勝。「励みになった」と奮い立たせた。22日に37歳を迎えるベテランは「まだ勝てる。できる限り長く続けたい」と力強かった。(宮下 京香)

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