◆報知新聞社主催 国内男子プロゴルフツアー 今季最終戦メジャー 日本シリーズJTカップ 最終日(4日、東京よみうりCC=7023ヤード、パー70)
首位と6打差11位から出た2015年、19年大会覇者・石川遼(カシオ)は、1イーグル、4バーディー、1ボギーのこの日のベストスコアに並ぶ65と猛チャージを見せた。通算10アンダーで優勝した谷原秀人に2打及ばなかったが、今季最終戦を5位で終えた。「(スコアを4つ伸ばした)12番からは内容的にはベストなプレーができたと思います。今日はほんのちょっとグリーンが読めていなかった。次につながるいいゴルフで最後はしっかりと終われたかなと思います」と納得の表情でうなずいた。
3打差を追った17番パー5(535ヤード)。石川は勝負に出た。ドライバーでフェアウェーに運ぶと、残り220ヤードからの第2打の攻め方は2つの選択肢があった。「リスクを取らないのであれば、5アイアンで奥を消して15メートルぐらいから2パット」。だが、勝負師は4ユーティリティーを握った。ピン右約13メートルに2オンし、「トータルで1メートル」曲がったフックラインを強めに打って決めてイーグルを奪取。大歓声に包まれ、右拳を力強く2度握り、雄たけびを上げた。「17番をリスクを取ってプレーしてみたい気持ちがあった。やり切れてすごく楽しかった」。首位に1打差に詰め寄って名物の最終ホールに向かった。
高揚感を持ったまま実測215ヤードの18番パー3のティーイングエリアに立った。もちろん前だけを見た。再び4ユーティリティーでピンを攻めると奥6メートルへ。入れれば首位に並ぶ場面での下りのバーディーパットは、左に抜けた。約1000人の観客から「あ~」とため息が漏れた。パーで終え、首位に並ぶことはできなかった。それでも「イーグル、バーディーで上がれるのは数%の可能性だと思っていたけど、その一個できたし、集中もできていた。気持ち的にも乗れていた」。1つ反省点としては「18番のティーショットはちょっと気持ちが前に出てしまった。そこら辺をもうちょっと改善は必要かな」と、すがすがしい表情で振り返った。
優勝争いを見据えて、スコアを伸ばしたかった3日の第3ラウンドは14番第2打のミスショットから連鎖し、15番でグリーン奥に大きく外すダブルボギーで後退した。「切り替えるのは難しかった。このままいったらズルズルいく…」と落ち込んだ。だが、最終日は序盤の2番で奥3メートルにつけてバーディーを奪い、力を込めて右拳を握った。「若干引きずっていた」が、このバーディーで吹っ切れた。「自分が今、コントロールできることに集中するしかない。今日の入り方ができたのは良かった。今回すごい勉強になったし、いい経験になりました」と話した。
2020年にスイング改造に着手し、今季から43度ウェッジを入れたウェッジは5本態勢で戦った。11月の三井住友VISA太平洋マスターズでは2年11か月ぶりのツアー通算18勝目を手にした。しっかり取り組みに根拠を持ち、貫いたことで少しずつ結果を生み出してきた。来季に向けては「自分がコントロールできることを磨いていって、コツコツやることかな。振り返った時に進歩だったりは感じる。また積み重ねの日々です」と再現性を求めて、オフも練習の日々が始まる。